近年、勢力の強い台風が日本列島の上陸や、上陸までに至らなくても通過することで、各地に大きな被害を及ぼすことが多くなっています。
大雨がふり、堤防が決壊してしまうことによる川の氾濫や土砂崩れの発生によって、道路や鉄道などの交通網は寸断され、被害拡大によりサプライチェーンも大きな打撃を受けるといったことはめずらしいことではなくなりました。
物流業界でもこのような自然災害に対応できるように備えはしていても、想定していたよりも被害が大きくどうすることもできない事態に追い込まれることがあるようです。
台風が通過した後にその被害状況を確認すると、倒木や土砂崩れ、道路の寸断などで配送ルートが確保できず、迂回が必要になるといったことも多々あります。
また、河川が氾濫したことによる浸水被害を大きく受けてしまうと、輸送会社の配送拠点や車両などが水没し、業務が行えない状況となることもあるでしょう。
大雨特別警報が事前に発令されている場合には、様々なリスクを考慮して事前に配送を停止するといった企業も少なくありません。
ただ、取りやめることを決断したものの、クライアントから強い要望を受けて業務を行うといったこともあるようです。
このような場合において企業で働く従業員やドライバーなどの安全、利益、信用は両立することが可能なのでしょうか。
通常どおりの対応はできなかったとしても、災害が発生することが予測されるときや、発生直後においては、生命にもかかわる部分なので業務の取りやめを強行しなければならないこともあるはずです。
ただ、顧客に対して一方的に通知することは難しいでしょうし、その後の取引に影響することが気になり、立場的な関係から断りにくいという問題もあるようです。
災害が発生したときには、道路や鉄道が寸断され、いくら配送したくてもできない状況となります。
このような場合において、ドライバーや荷物の安全、運行状況を確認することに手間がかかってしまうという問題も起きてしまいがちです。
そこで、クラウド型の動態管理システムなどを採用することによって、リアルタイムでドライバーや荷物の動態管理が可能となるでしょう。
また、被災により瓦礫などの処理や輸送需要が高まることで、トラックなど大型車を保有する事業者に対するニーズも高まります。
そのとき、稼働できる車両があればよいものの、被災したエリアでは輸送を行う企業自体が被災してしまうことにより、車両が不足することも考えられます。
このような場合、国土交通省では緊急時の対応としてレンタカーの利用を認めたケースも過去にはあります。
また、被災エリアに対する物資の運搬に必要な特殊車両通行許可証を迅速化に取得できるように、出先機関まで足を運ばなくてもオンライン申請を可能とされています。
さらに特殊車両の通行許可証は、電子機器での備え付けも可能になるなど、緊急の際には関係省庁もいろいろな施策や対策を講じることとしているようです。