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運送・物流危機を救う鍵となる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは?

2022.07.04
分類:その他

コロナ禍で外出が制限され、巣ごもりの影響などで買い物はインターネットを利用することが多くなりました。

しかしネット通販を支える物流網では、ドライバー不足に業務効率化の遅れなどが影響し、輸送力低下が深刻な問題となっています。

2030年になると営業用トラックなどで運ぶ荷物の約36%は運べなくなるといった予想もされているため、物流課題の解決が急務といえるでしょう。

そこで運送・物流危機を救う鍵として注目されているのが、物流の「デジタルトランスフォーメーション(DX)」ですが、具体的にどのようなことを意味するのか解説していきます。

運送業界のドライバー不足はなぜ深刻化しているのか

国内貨物輸送量の約9割は、営業用トラックと自家用トラックなど、貨物自動車で運ばれています。

その一方でトラックドライバーは低い賃金水準や長い労働時間が敬遠され、人手不足が深刻化しているといえるでしょう。

ドライバー不足で物流需給に対応できず、現場が逼迫してしまえば、より高い料金の支払いで運び手を奪い合う競争が起き、コストは上昇してしまうでしょう。

様々な品物が値上げされることに拍車をかけ、材料が届かず製品が作れないといった問題も起きてしまいます。

 

運送・物流業界が抱える「2024年問題」とは

20244月からは、ドライバーの時間外労働に対し、年間960時間(月80時間)の上限規制が適用されます。

必要な規制ではあるものの、働き手が不足しているため物流・運送業界では大きな痛手となることは避けられません。

2024年を境として需給バランスが崩れ、大幅な物流コスト上昇が発生しかねないことも危惧されています。

少子化で働き手を急増させることは見込めず、DXによる物流効率化なども検討されていますが、実際にデジタル化が進まない背景には国内約6万社の運送事業者の多くが中小企業であり、荷主企業に価格交渉ができずデジタル化に向けた投資が厳しい状況が関係しているといえます。

 

国が目指すネット回線のような物流とは

倉庫やトラックなどの物流資源を、利用者全体でネット回線などの設備を使い共有する仕組みを作ることで、効率的な物流を実現したいと国は考えています。

物流データやパレットなど物流資材の標準化、システム導入推進などで段階的に実現していくことを目指す方針のようです。

しかし荷主側企業の意識変革も必要であり、物流事業者と協力して物流改善に向け主体的に知恵を絞っていくことが求められています。