運送業界の市場規模や宅配便取扱個数の推移、ネット通販市場の動向、人手不足問題への対応など、宅配シェアは今どうなっているのでしょう。
そこで、国土交通省の調査による2021年度(2020~2021年)の宅配便取扱個数の情報などを参考に、運送業界の動向と現状から考察する今後の宅配シェアについて説明していきます。
宅配取扱個数は前年比1.0%増加しており、急成長しているネット通販が個数増加を牽引していると考えられます。
国土交通省の調査では、2020年度の宅配便取扱個数は前年比11.9%増の48億3,647万個であり、その中でもトラック運送は前年比11.5%増の47億8,494万個という結果でした。
ネット通販市場が拡大したことだけでなく、フリマアプリを使った個人間取引も増加傾向にあるため、宅配便の取扱個数が増えつづけているといえます。
さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響によるEC利用率の高まりも、取扱個数増加に影響を与えたといえるでしょう。
ネット通販市場は今後も成長が見込まれるため、宅配シェアの需要は今後も伸びることが予想されます。
インターネット通販やフリマアプリの急成長で、宅配便の取扱数増加は運送業界にとっても大きな追い風といえます。
しかしその一方で、ドライバーや作業員は不足しており、現場は逼迫した状況が続いています。
このような状況から、ヤマト運輸や佐川急便、日本郵政なども運賃の値上げに動き、労働環境改善に着手するなどドライバーの負担軽減を図っています。
また、同業他社や異業種間で業務提携するなど、業務効率化や省人化への取り組みも進んでいます。
運送会社と過疎地の路線バスやタクシー、電車などが宅配便を輸送する「客貨混載」もスタートし、物流の効率化に加えて地域インフラ活性化にも影響を与えることができているといえるでしょう。
ヤマト運輸の場合、2019年5月に24時間荷物の受取・発送を可能とするセルフ型店舗「クロネコスタンド」を豊洲にオープンし、9月にはスマートフォンを使った宅急便発送手続も可能としています。
佐川急便は、AIを活用した配送伝票業務の自動化を行い、2020年5月には「指定場所配送サービス」を開始して再配達を抑制する取り組みも始めました。
日本郵政は都営地下鉄のコインロッカーの一部で荷物の受け取りを可能とする「はこぽす」をスタートしています。