運送・物流業界の「ラストワンマイル配送」とは、最終拠点から消費者(エンドユーザー)に対する物流サービスのことです。
消費者に商品を届ける最後の区間を意味していますが、物流サービスにおいて注目されているといえます。
そこで、具体的に「ラストワンマイル配送」とはどのような物流サービスなのか、詳しく説明していきます。
「ラストワンマイル」とは顧客に商品やサービスが到達する物流の最後の接点であり、EC市場に新規参入事業者が急増したことで、当日配送や送料無料など他社との差別化に取り組む事業者が増えたことで注目されるようになりました。
すでに大手の事業者では、全国対応に翌日配送などの差別化を図るサービスが展開されていますが、拠点の集中により配送は宅配業者に任せる流れが一般的だったといえます。
ただ、より消費者に近い場所に配送拠点を設ければ、ラストワンマイルを縮めサービスを強化することができます。
すでにEC事業者の販売戦略として、ラストワンマイルの物流サービスを成長させる動きが活発化しているといえるでしょう。
消費者にとってもメリットのあるラストワンマイルですが、デメリットとし金銭的な負担が大きいことが挙げられます。
ECサイトの運営者は売上を伸ばすために送料無料などのサービスを提供していますが、価格の安い製品などは配送にかかる金額をカットしなければならないため、結果的に運送会社の人件費が増え利益率を低下させます。
人件費削減に向けて、コンビニ受け取りサービスなど依頼しても、委託金が高額で利益率の改善は見込めないでしょう。
運送会社は人件費削減ではなく、たとえ料金がかかっても選んでもらえるような、付加価値を生み出すことが必要といえます。
急増する荷物量に対し、不在対応や再配達依頼の問題など、より配送業者の負担は増しています。
それに加え、現場の人手不足と高齢化では、高い質のサービスを維持・継続するとは困難です。
インターネット通販などが急成長し、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに人々のライフスタイルも多様化しました。
それにより、今以上に商品やサービスを、インターネットを使って好きなときに購入することとなり、ラストワンマイルに対するニーズも高まっているといえるでしょう。
仮に大手であれば、実店舗で受け取るといった消費者のライフスタイルに合わせたサービスの提供も可能です。
宅配ボックスや置き配など、人が関わらずに荷物を届けるサービスも利用されるようになりました。
中小の事業者でも、ラストワンマイル問題を解決する物流サービスを向上させることができるように、取り組んでいくことが必要といえます。