「中抜き」は、貸切バスが待機しているときの時間を、運賃から差し引くことをいいます。
わざわざ決められた運賃を請求せず、自ら値引きする理由として、少しでも競合他社より安い運賃を提示し、今後も仕事を請け負いたいからといえます。
格安航空が登場したkとおで、国内外の移動は陸を使わなくてもコストをかけず簡単にできるようになりました。
貸切バスの価格競争はより激化したといえますが、利用料金の下限割や無理なコストカットなどで、安全運行管理に問題が発生しているといもいえます。
そこで、貸切バスの下限割れの原因である運賃の「中抜き」とはそもそも何なのか、その内容について説明していきます。
貸切バスの基本料金は、次の計算方法で算出されることになります。
「貸切バスの基本料金=距離×キロ制運賃+時間×時間制運賃+別途実費」
別途実費に含まれる費用は、たとえば駐車場代・有料道路代・バスガイド代・ドライバーの宿泊費などです。
利用する曜日やシーズンによっても料金が変わることとなり、たとえば土地に祝日や8・9月は料金が高くなりやすく、月曜日や水曜日、1・2・4・12月は安くなりやすいといえます。
貸切バス料金の下限割れとは、法律で定めのある下限金額を下回ってしまうことです。
下限金額は、最低利用時間の3時間と、貸切バス利用の前後1時間ずつの運転を含めた金額で計算されます。
しかし下限割れが発生してしまう原因として、主に次の2つが挙げられるでしょう。
・適切な計算方法で算出しなかったとき
・手数料の料率が関係するとき
変更した運賃料金の届出をしていなければ法令違反となりますが、届出ていた計算方法で算出したのに手数料料率が高く下限割れが起きるケースもあります。
設定されている手数料率が法外といえるものなら、道路交通法違反となるため注意しましょう。
貸切バスの下限割れが発生する理由に関係するのが「中抜き」です。
貸切バスの料金はドライバーを拘束する時間を基に算出されることになりますが、目的地までの往復時間3時間必要で、その間に待機時間が7時間発生するとしましょう。
この場合、運転手の拘束時間は10時間で、待機時間にも時間制運賃が発生します。
しかしこの待機時間分は時間制運賃に含まない「中抜き」が行われ、法律で統一されたはずの下限料金に差を生んでいます。
貸切バス料金の下限割れを防ぐために、国土交通省でも手数料の年間額を毎年度報告しなければならないとしています。
実情に沿った貸切バス運営のためには原価計算が不可欠といえるため、独自運賃を設定した範囲内で他社と差別化する方法を検討しましょう。