様々な業界で最新技術を導入することによる自動化などが進んでいますが、自動車業界でもカーボンニュートラルを目的とした電動化の流れにあります。
運送業でもトラックなど自動車を使用することは欠かせませんが、走行距離やコストなどの問題があるため電動化は避けられてきたといえます。
近年ではその流れも変化が見られ、EVトラック市場は年間数10%という勢いで成長するとも言われていますが、実際には困難であると考えられるでしょう。
そこで、運送トラックの電気自動化が難しいと考えられている理由について、簡単に解説していきます。
運送トラックは走行距離が長くなりやすいため、一般的な自動車よりも航続距離が必要です。
その上で荷物を載せて走るため、大きな容量を維持できるバッテリーの取り付けも求められます。
しかしバッテリーは重量もあるため、増やしすぎれば燃費や積載可能量に影響を及ぼすこととなり、トラックの競争力をなくします。
実際、EVトラックは最長の航続距離が400キロほどであるため、1日で1000キロ以上走らなければならない長距離輸送用に使用しにくいといえるでしょう。
また、仮に航続距離問題が解決できた場合でも、容量の大きなバッテリーの充電時間は長くなりがちであるため、トラックを動かすことができないロス時間を発生させてしまいます。
すでに販売されている電気自動車タイプのEVトラックは、販売価格も高額です。
バッテリーにかかるコストが高いため、ガソリン車やディーゼル車よりも販売価格が高くなることは避けられません。
ゼロカーボン政策の補助金などにより、購入価格をある程度引き下げることはできたとしても、ガソリン車より安く抑えることができる可能性は極めて低いでしょう。
さらにバッテリーは繰り返し充電することで消費していくこととなり、いずれ寿命を迎え買い替えが必要となります。
一般的な電気自動車のバッテリーは16万キロまたは10年とされているものの、長距離を走り続ける電気自動車タイプのEVトラックなら、さらに寿命が短くなり総合的なコストが高くなってしまいます。
コストがガソリン車やディーゼル車よりも高くなる以上、電気自動車タイプのEVトラックに魅力を感じる事業者も必然的に少なくなり、導入ハードルはさらに上がると考えられます。