医療業界は発展を続けているといえますが、医薬品も症状に合ったいろいろな種類が使用されています。
進歩を続ける医療現場を陰で支えている医薬品を、品質を落とさず安全に医療機関に届けるために欠かせないのが「医療物流」です。
医療物流は地域医療の一端を担う存在として、医療や医薬品を専門とする物流の拠点や配送体制を整備し、「薬機法」に規定される許認可取得を進めつつ物流サービスを提供しています。
近年の医療技術は劇的に発展しているといえますが、その中でも医薬品が開発は大きく進んでいます。
ただ、医薬品の輸送では、適切な温度や湿度を管理しなければならず、環境変化で効果を失ってしまうため、輸送・配送のときには最新の注意を払うことが必要です。
医療物流には次の2つのルートがあるといえます。
・メーカーから卸
・卸から医療機関
それぞれのルートと医療物流の特徴について説明していきます。
メーカーから卸までのルートは、医薬品のメーカーが生産した医薬品を医薬品卸の保管倉庫に輸送します。
入庫した医薬品は品質維持のために適切な温度管理が必要となり、医療機関からの発注があるまで保管されます。
卸から医療機関までのルートは、医療機関から発注を受けたとき、医薬品卸の保管倉庫から出庫し配送するまでが業務です。
ピッキング・梱包・配送などの際にも、医薬品に合う温度を保持しながら品質維持に努めなければなりません。
医療物流は、製品を工場からストックする倉庫まで輸送しますが、温度・湿度の管理以外にも品切れを防ぐ在庫管理、緊急対応するための管理を24時間体制で行うことが必要です。
そして医薬品以外の在庫ロス削減や荷受業務効率化のために、入院病床の寝具・シーツなどのリネン製品をクリーニング工場から病院に配送することや、使用済み製品回収などにも対応することが必要となります。
医療物流は、「薬機法」という法律に基づいた業務が必要となります。
医薬品・医療機器などの品質・有効性・安全性を確保するための法律であり、製造・表示・流通・販売・広告など様々な項目で厳格な規定が定められています。
対象となるのは医薬品・医療機器・医薬部外品・健康食品・化粧品などです。
物流倉庫の医薬品保管業務においては、厚生労働省に営業倉庫の届出を行っていれば違反ではありませんが、ラベル貼り・梱包業務・再梱包などを行うなら包装・表示・保管区分の「医薬部外品製造業許可」や「化粧品製造許可」を取得しておいたほうがよいでしょう。