国の主導により、現在では「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進が急務となっています。
「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」が急がれている理由は、物流・運送業界の抱える課題を解決できる可能性があると考えられるからです。
そこで、物流・運送業界の抱える課題と、なぜ「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」が課題解決につながるか解説していきます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、物流・運送ニーズが高まりつつある中で、業界特有といえる課題を解決させることが必要とされています。
物流・運送業界では、すぐにでも解決しなければならない課題を抱えているといえますが、特に次の3つについては急がれます。
・慢性的な人手不足
・小口宅配の急増
・倉庫の空きスペース不足
それぞれ説明していきます。
多くの運送会社が問題として抱えているのが慢性的な人手不足です。
さらにドライバーの高齢化も進んでおり、将来的に人手不足となることが懸念されています。
インターネット通販など、個人向けの小口宅配が増加しており、人手不足の上に再配達の増加などの問題を生み出す要因となっています。
個人向けの小口宅配が増えたことにより、荷物管理の負担も大きくなり、倉庫の空きスペースがないという状況を作っています。
「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、IT技術によりサプライチェーン全体を変革することを意味します。
経済産業省が策定したガイドラインには、物流DXの定義について、「ビジネス環境の激しい変化に対応するため、デジタル技術活用により業務・プロセス・組織・企業文化・風土の変革を行い競争上の優位性を確立することと」としています。
IT技術の導入で属人化業務を効率化させるだけでなく、ノウハウやプロセスをIT技術やデータにより標準化していくことともいえるでしょう。
物流・運送業界が抱える問題を解決させるために欠かせないのが物流DXですが、デジタル化により業務の省力化・効率化を目指す例として、トラックの「隊列走行」や「自動化」が挙げられます。
「隊列走行」は車間距離を自動で保ちながら走行する技術であり、「自動化」においてはすでに日本郵船株式会社が大型自動車専用船の有人自動運航に成功しています。
他にもAI技術活用によるピッキング作業の指示作成を最適化することや、運送状や書類の電子化などもIT化の1つして含めることができるでしょう。