日本の鉄道貨物による輸送は、現在首都圏から福岡までの間の需要が最も大きいといえます。コンテナ車が最大で26両連結された列車が運転されるなど、大量の荷物を一度に運ぶことを可能としており、これこそが鉄道貨物のメリットといえます。
では鉄道貨物ではどのようなものが運ばれているのか、現在貨物輸送をトラックから鉄道へと転換させるモーダルシフトなどについてご説明します。
鉄道貨物の中心的存在となる日本貨物鉄道(JR貨物)のコンテナ輸送実績をみると、食料工業品、紙パルプ、宅配便等、農産品・青果物などが多いようです。人々の生活に密着した物資を主に輸送しており、車扱の輸送実績の7割は石油類が占めています。
石油類の輸送は臨海部から内陸というケースが多く、安定供給に欠かすことのできない存在です。
そもそも国内貨物輸送の主要部分という存在だったのが鉄道貨物による輸送ですが、道路網整備に伴ったトラック輸送が著しく伸びたことによって、昭和40年代以降は鉄道のシェアが格段に減少しました。
実際、輸送重量では自動車が9割を占めていますが、鉄道はたったの1%程度です。
国内貨物輸送の7割が100キロ未満という短距離による輸送です。ただ、長距離帯になれば鉄道貨物輸送のシェアも高まり、長距離輸送分野での鉄道は一定の役割を果たしているといえるでしょう。
さらに日本は二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出量削減に努めていますが、鉄道貨物による輸送は環境負荷を抑えることができる輸送手段であり、もっと周知されるべきといえるでしょう。
ドライバーの人材不足や長時間労働による過重労働など、様々な問題を抱えているトラック輸送の問題を解決させるためにも、国はモーダルシフトを積極的に推進しています。
ただ、鉄道を利用する場合の課題として挙げられるのは、小口輸送などに適していない部分をどうするかという点です。さらに急な出荷量の増減などにも対応できないのに、トラックよりも輸送コストは高額になってしまいます。
この鉄道を利用して運んでほしい荷物がないことを解決しなければ、鉄道が選ばれない状態は続くといえるでしょう。
システムなどが構築され、様々なニーズに対応できるようになれば、トラックから鉄道へというモーダルシフトが実現されることにつながると考えられます。