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運送業者貨物賠償責任保険で遅延リスクも守れる?

2018.02.19
分類:その他

運送業者や倉庫業者など、物流業者にとって運送中や積込・荷卸し中に貨物に損害が生じることは避けなければなりません。
しかしどんなに注意していても、偶然に起きた事故などで損害が生じることもあるでしょう。
このような場合、荷主や元請運送人に対して負担しなければならない運送契約等の賠償責任をカバーする保険に「運送業者貨物賠償責任保険」があります。
物流業者なら加入しておきたい保険だと思うでしょうが、どのような補償内容なのか、例えば遅延により損害が生じた場合にも補償してもらえるかなども気になるところですので確認しておきましょう。


運送業者貨物賠償責任保険の補償内容
運送業者貨物賠償責任保険は運送契約等における、荷主・元請運送人の貨物に生じた損害に対する賠償責任をカバーする保険です。
荷主が貨物保険を手配しているケースはありますが、物流業者に対して賠償請求をすることが一般的には多いですし、荷主に保険金を支払った後で物流業者に対して賠償請求を行うこともあります。
そのため物流業者は運送業者貨物賠償責任保険に加入しておく必要があると言えます。


運送業者貨物賠償責任保険で補償される損害は次の通りです。
・貨物自体に生じた損害
輸送中、荷積み、荷下ろし作業中に起きた偶然な事故で、受託した貨物に損害が発生した場合の運送契約上における賠償責任を補償します。
ただし、貨物価額を限度としています。

・損害防止費用
損害防止義務を履行する際の費用

・争訴費用
訴訟、仲裁、調停、和解のための費用


運送業者貨物賠償責任保険で補償されないケース
ただし、次のような損害についてはカバーされませんので注意しましょう。
・被保険者の故意、重過失による損害
・発送者の責任によって生じた損害
・既に貨物に既に存在していた品質不良や数量不足による損害
・貨物の自然消耗や本質的な欠陥、市価切り下げによって生じた損害
・戦争または軍事、テロ行為、核事件、核爆発による損害
・輸送遅延によってもたらされた損害あるいは費用
・間接損害


輸送遅延でもたらされた損害や費用とは?
補償されない損害のケースで気になるのは輸送遅延でもたらされた損害や費用も対象外という部分です。
これはどのようなケースかというと、輸送される貨物自体に生じた損害ではなく、物流業者に対しての輸送遅延における賠償責任などです。
例えば運送契約上に約定していた輸送遅延の罰金や違約金、輸送遅延によって納品できないことに対する損害などが該当します。
また、間接被害とは貨物の損害の二次被害として生じた利益の損害、罰金、環境汚染など、直接物的な損害ではない賠償損害です。


物流業者にとっては加入しておくべき保険
このように運送業者貨物賠償責任保険は貨物を運ぶ物流業者を専用的に守る保険だと言えるでしょう。
ただし遅延によって貨物自体に生じた損害ではなく、物流業者に対しての賠償損害については補償されない点は理解しておく必要があります。
それでも物流業者は加入することが必要だと言えますし、荷主にとっても自分の貨物が守られるためにも、物流業者が加入しているかを確認したほうが良いでしょう。