ここ数年、建物の内部の物流も注目されるようになりましたので、商業施設内などの館内物流については物流関係者なら知っておきたい部分といえます。
しかし実際にどのような仕組みになっているかご存じでしょうか。そこで、大型商業施設やビルなどで導入されている館内物流の仕組みについてご説明します。
館内物流とは大型商業施設やビルなど、1つの建物に複数のテナントが入っている場合の物流の仕組みです。一括して荷物の配送や集荷を行い、スムーズに建物に貨物を搬入できるようにしたり屋内移動を効率化させたりなどを図るために実施されます。
運送会社から建物内のテナントに向けた荷物があったとしても、施設内のラストワンマイルの配送業務を館内物流事業者が受けることによって業務の効率化を図ります。
館内物流においてどのようにモノが流れるのかというと、
①施設内テナント向けの納品車両から館内物流事業者が一括で荷物を受け取る
②トラックヤードから施設内の仕分け場へ荷物が移動される
③荷物をテナントごとに仕分けする
④それぞれのテナントに向けて荷物を配達する
⑤物量が多い場合は店舗のバックヤードまで届ける
⑥テナントから発送する荷物がある場合には館内物流事業者が集荷し運送会社に取り次ぐ
という形です。
館内物流は施設だけでなく、施設を利用している利用客や入居するテナント、運送会社などいろいろな方にメリットのある物流の仕組みです。
館内にドライバーなどの部外者が入館することを制限できるため、施設内のセキュリティーも向上しますし。ドライバー側もわざわざテナントまで荷物を届ける手間がかかりません。
館内を循環するのはユニフォームを着て施設スタッフとしての物流担当者なので、監視の目が行き届きやすいなど防犯効果も期待できる点がメリットです。
大型所業施設の場合、館内には100店舗という数のテナントが入っていることもあります。そうなると配送会社は1日に100~300個の荷物を施設内に納品することとなりますが、ドライバーがテナントそれぞれの配達することになれば3~4時間かかってしまいます。
その間、トラックヤードの駐車スペースはトラックが停まったままの状態となり、納品待ちのトラックが渋滞してしまう原因となるでしょう。
しかし館内物流であれば、荷物はトラックヤードで一括受け取りになりますので、ドライバーも配達時間を節約可能となり、施設側も駐車スペースの回転率を上げることができます。
テナントにとっても、まとめて仕分けされた荷物が配達されることにより、複数の運送会社から届いた荷物が集約され手元に届けられます。受け取りに対応する回数を削減できるため、すべての人にメリットがある方法といえるでしょう。