トラック運送事業者のために「標準貨物自動車運送約款」は改定された?
これまでは、トラック運送事業者に対して、荷主から運送以外の業務についての対価が支払われていなかったケースが多く見られました。この事態を重くみた国土交通省は、トラック運送事業が運賃や料金を収受できることを目的として「標準貨物自動車運送約款」を改正しています。
運賃と料金がしっかりと区分されることになり、トラック運送事業者にも対価が支払われる改定がなされていますので確認しておきましょう。
標準貨物自動車運送約款の改正内容は?
標準貨物自動車運送約款の主な改正は、トラック運送事業者が運送の対価である「運賃」、そして運送以外の役務等の対価である「料金」を適正に収受できる環境を整備するためのものです。
これまで、運賃の範囲は不明確だったため、運送だけでなく、付帯業務や積込み、荷降ろしや荷待ち時間などまで含まれていることがありました。
しかし、標準貨物自動車運送約款が改正されたことで、運賃と料金の区分を明確に分けなければならなくなりました。
□運賃と料金への分け方
「運賃」に含まれるのは運送の対価のみで、付帯業務や積込み、荷降ろし、荷待ち時間など、運送以外の役務等の対価は「料金」に分けられます。
□実費負担で収受するもの
なお、荷主の要求による横持ちや縦持ち、棚入れ、ラベル貼り作業は実費負担として収受することとなり、車両留置料は廃止されています。
□運送状の記載事項
運送状の記載事項には、積込料、取卸料、待機時間料などの料金の具体例を規定し、料金として積込みまたは取卸しに対する対価は「積込料」および「取卸料」、荷待ちに対する対価は「待機時間料」とされます。さらに付帯業務の内容として、「横持ち」などは明確化することが必要です。
運賃料金はどのように決める?
運賃料金を決める時には、待機時間料や積込料、取降料は何を基準に、どのように設定すれば良いのか分からないという場合もあるでしょう。しかし、これらの料金設定について、具体的な基準や設定方法は特に示されていません。
そのため、各事業者が自社のコストに見合う設定を行うことを基本とし、ドライバーや従業員の人件費を勘案するといった考え方で設定することになります。あとは運送会社がそれぞれ荷主企業と交渉して行うことになるので、双方納得できる料金で設定するようにしてください。
対価をしっかり収受できるように
近い将来、トラック運送事業者が、安全で良好な品質を保ち荷物を運ぶことが困難になることを懸念し、標準貨物自動車運送約款は改正されています。ルールを守って対価を収受できる環境を整備するようにしましょう。