運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

トラック運送業が適正な価格で請求書を出すことができるために

2019.02.07
分類:その他
国内貨物輸送の約4割を担うといわれているトラック運送業では、長時間労働や低賃金など労働環境が悪化することでドライバーのなり手が不足している状況です。 現在働いているドライバーの平均年齢も50歳に達するなど、高齢化していることも問題しれていますが、人材不足を解消するためにも適切な運賃や料金が記載された請求書を渡すことができることが必要です。 取引上、荷主のほうが立場は強く、運送以外の附帯業務にかかる対価や燃料費の高騰による負担などで抱える負担分について、運賃や料金の交渉を行いたくてもできないまま、適正な取引ができていないこともあります。 そこで、適切な取引を行い、満足できる請求書を発行する事ができるように、どのような価格交渉を行えばよいのか確認しておきましょう。

取引条件を明確にすることが大切

荷主と運送事業者間のトラブルを回避するために、まずは取引条件を明確にすることが求められます。 そこで、取引条件に関してのルールを定め、設定する価格について双方が合意することが必要です。 □業務内容と責任の範囲 運送業務と附帯業務はしっかり線引きして区別しておき、運送する物の形態や重量なども事前に確認しておきましょう。もし附帯業務が発生する場合にはその業務内容も明確にしておきます。 □運賃・料金設定 荷主と合意できる内容であることが必要ですので、燃料費や人件費などを考慮した合理的な範囲での設定がもとめられます。定期的に協議の場を設けて見直すことを行いましょう。 有料道路の通行料や附帯業務を行う上で生じる費用など、追加費用としてかかる額や負担についても明確に設定しておくことが望ましいです。 もし、荷主の都合で貨物量が増減される場合には、合理的な運賃や料金の設定に見直しましょう。キャンセルや荷づくりが不十分でないことで生じた破損分について、また、契約に含まれてない附帯業務や荷待ち時間などの費用負担についても、事前に契約の際に明確にしておくと後のトラブルを防ぐことができます。

燃料サーチャージ制度の推奨

突発的に燃料費が高騰した場合など、上昇分を見込んだ運賃や料金設定について協議を行うことが求められます。燃料とする石油価格に追随する、運賃とは別で徴収される料金を燃料サーチャージといいますが、この制度の必要性についても十分に説明し、導入についても提案してみるようにしましょう。

より具体的に交渉するために

交渉の際には、燃料費や人件費にかかるコストを確認できるデータなどを提示すると、客観的な目線で具体的に交渉ができるはずです。 トラック運送業における原価計算は、全日本トラック協会のホームページなどに公開されていますので上手く活用しましょう。こちらのホームページには、燃料サーチャージの必要性などについても、参考になる情報が多く掲載されています。 公益社団法人 全日本トラック協会: http://www.jta.or.jp/ 他にも、資源エネルギー庁の石油製品価格調査など、公表されているデータを用いることで設定する価格の合理性を明確にすることに繋がります。 資源エネルギー庁 石油製品価格調査: http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/results.html 適正な金額で請求処理が行えるように、業務内容を明確化して荷主と交渉することから始めてみるとよいでしょう。