これまで道路や港湾、空港などの物流におけるインフラ整備は公共工事の一環として自己目的化されていたといえます。
確かに空港のハブ化やスーパー中枢港湾が必要である状況ともいえますが、地方ではそれらのニーズが高いとはいえず、次々に建設される空港や港による集中化と分散化が混同している状態です。
物流のインフラ整備は公共工事の一環といえますが、適切に機能しているといえず司令塔が不在という状況です。
それにより国際競争力を強化するまでに至らず、地方の空港や港からは国内韓国に貨物や人が流れているといえるでしょう。
少しでも入港や着陸にかかる料金を引き下げて、飛行機や船を呼ぶべきでは?という意見もあるようですが、実際のところ荷物や乗客が多いところには自然にそれらは集まるものです。
以上のことから今物流のインフラ整備で求められることは、戦略性と地域の総合力であると考えられるでしょう。
公共工事の中には高速道路の整備なども含まれますが、高速道路についても造る道路から使う道路にという発想の転換が必要です。
第一に考えるべきなのは費用対効果であり、通行する車両が多いところには集中して投資していくべきと考えられるでしょう。
使用効率が十分でない関西の高速道路なども、未整備区間で途中途切れている区間であるミッシングリンクを整備することで、格段に使用効率向上につなげることができるはずです。
日本の物流を輸送手段別にみたとき、重量ベースでは9割強がトラック輸送であり、その6割が営業用トラックです。
公共性の高い営業用トラックなどについては、ドライバーの長時間労働を防ぐためにも通行料金を引き下げたほうがよいと考えられますが、全車種を無料にしてしまえば渋滞が起きることになります。
物流コストは下げることができても、効率が下がってしまい、ドライバーの長時間労働解消につながらなくなってしまいます。
環境にも悪影響を与えることになりますし、緊急事態や災害発生のときの輸送にも支障をきたすこととなります。
ただ、韓国や中国などでは国益優先という国家戦略により、道路や鉄道、空港、港湾などの物流インフラの基盤を急速に強化することを押し進めています。
日本でも物流の国際競争力を高めるために、物流インフラの見直しが必要であるといえるでしょう。