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出版物流では荷物量は減少・配達先は増加!それによる大きなデメリットとは?

2019.09.05
分類:その他

宅配は運ぶ荷物が増えすぎて運びきれなくなっている状態であるのに対し、荷物は減少しているのに人手不足に陥っている物流現場が雑誌や書籍などの出版物流です。

たとえばコンビニエンスストアに雑誌を運ぶ場合、以前までその量の多さでトラックにすべてを積み込むことができず、数回に分けて運ぶことも行われていました。

しかし現在では、あれほどかかっていた積み込む際の手間や時間が短縮され、一度ですべての雑誌をトラックに積み込み運ぶことが可能となっています。

なぜこのような状況が起きているのか、その理由をご説明します。

配達先は増えているのに荷物は減少

新しい雑誌を届け、代わりに売れ残った雑誌を引き取るという流れが必要となりますが、コンビニエンスに雑誌を届ける場合、一昔前とコンビニエンスストアの数が異なる点に問題がおきます。

運ばなければならない店舗数が増えているのなら、荷物の量も増えて受け取る配送費も増加し、ドライバーの待遇も改善できるのでは?と思うかもしれません。

しかし実際には、現在はインターネットやスマホなどで電子書籍を閲覧できるようになっており、紙の雑誌に対する需要は低減されています。

 

配達する先の数が増えても収入は増えない

出版配送の小口化も急速に進み、ここ10年間で運ぶ荷物の量は3割減少しているのに、配達する数は2割増えているという悪循環がみられます。

本の売上をみても、出版社と著者側に7割、書店が2割強、そして残り1割弱を取次ぎが受け取る形となります。その取次店から書籍や雑誌を運ぶ配達業者に支払う運賃は、配送する数や運送した距離ではなく、どのくらいの本を運んだかその量で決まってしまうのです。

配達先や距離は増えても、荷物が少なくなっていれば受け取る運賃も少なくなるのに、手間や時間だけがかかりコストパフォーマンスを悪化させてしまいます。

長時間働いても儲けにならない、そのような状況に悩んでいるのが出版物流にかかわる配達業者なのです。

 

物流コストの負担による配送業者の苦悩

回る店舗数は多くて忙しいはずなのに、運べば運ぶほど赤字が出てしまうという悪循環で、出版物流から手を引くという運送業者も出てきている状況です。

紙の雑誌を求める方にとって、コンビニエンスストアに行けばいつでも最新号の雑誌を購入できるとその利便性の高さに魅力を感じていることでしょう。

しかし物流コストの負担や配送の効率化など、その裏では苦悩を抱える業者が存在していたということになります。