国土交通省では、過疎地域に新たな物流を誕生させるために、ドローン物流の商業サービスを実現させるような施策を進めているようです。
その背景には、日本の少子高齢化・核家族化が進んでいることが挙げられます。
地方で育った若い世代は、都心や地方都市へと移り住むようになってしまいました。
すっかり過疎化した地域では、若い働き手も少なくなり、大型の商業施設だけでなくスーパーマーケットなども撤退されるなど、日々の食料品や日用品を購入する場を失っている状況です。
過疎地域で生活する方が日々生活を送るために必要なものを揃えるためには、隣町まで足を運ばなければならないこともあります。ただ、自動車など運転できない高齢の方は、1日に1本や2本というバスを利用して移動しなければならないという状況に置かれているのです。
身体的に移動が難しい高齢の方もいる中、まとめてモノを購入しても持ち帰ることはできません。
この買い物弱者といえる方たちが、安心して生活を送るためにはどうすればよいのか考えていかなければならない状況にあるといえます。
そこで国が考えたのが、ドローンを使った物流です。過疎地域において、ドローン物流の環境を整備することにより、過疎地域に住んでいても荷物を配送してもらえる状況を作るというものです。
国は2015年には、3年以内にドローンを使用した荷物配送の実現を目指すという方針を打ち出しており、官民一体で物流活用に向けて取り組んでいました。
それがついに、2019年6月、国土交通省の「過疎地域等におけるドローン物流ビジネスモデル検討会」として中間とりまとめを公表したという流れです。
ただ、ドローン物流が継続的に展開されていくためには、ビジネスとして成立することが必要不可欠となります。
支援措置として、ドローン機体を購入し、操作を習熟するための経費を補助できるのか、住民に対してのサービスを向上させるため、ドローン配送業者に対する経費の支援などがおこなわれるのかが重要となるでしょう。今回の国土交通省のとりまとめでは、これらについても指摘しています。
仮に今後、過疎地域でドローン物流が活躍できる状況になったとしても、それを運営する業者の採算が合わなければ意味がありません。経営的支援がどのくらい行われるのかなども注目される部分といえるでしょう。
物流センターや倉庫などでドローンを活用することにより、管理作業の効率化や、構内における軽量部品や資材の移動手段として利用することもできます。今後も様々な分野で利用されることが広がるでしょう。
ただ、過疎地域で困っている方がいる以上、慢性的な労働力不足で悩みを抱える物流業界がサービスとして提供できるように、その手段として上手く活用される体制が作られることがまずは望ましいといえるでしょう。