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運送の主役は今後トラックから鉄道貨物へと変わっていく?

2021.08.20
分類:その他

鉄道といえば、人を運送するだけと思われがちですが、旅客輸送と貨物輸送があります。

実際、昭和30年代頃までは船同様に物流の主役だった鉄道貨物ですが、だんだんと高速道路が整備されるようになり、貨物はトラックによる輸送が主流となっています。

しかしながら、多くの貨物を長距離輸送できる鉄道は、トラックよりもたくさんのメリットがあります。

鉄道貨物のメリット

鉄道貨物で使用されるコンテナには、街中でよく目にする最大積載量が5トンのコンテナが挙げられます。

日本で走るコンテナ貨物列車は最長が26両編成で、コンテナ貨車1両に5トンコンテナを5個積載できます。さらに1列車で運べるのは、コンテナ130個、最大650トンの貨物なので、大型10トントラック65台分となります。

トラックなら65人のドライバーが必要となりますが、鉄道貨物を使えばこのドライバーの数を必要としません。

さらにトラック輸送の場合には、渋滞や交通事故などの不安がつきまとうものですが、鉄道貨物はCO2(二酸化炭素)の排出量が少なくて済みます。

メリットの大きさを感じている企業も増えており、近年では大手運送会社や自動車メーカーが専用貨物列車を運行させ、ビール会社や食品会社が共同輸送に鉄道を使うケースも増えています。

 

鉄道貨物のデメリット

ただし鉄道貨物を使った輸送は、送り先に近い貨物駅から届け先に近い貨物駅までの輸送となるため、貨物駅から最終的な届け先まではトラック輸送が必要となります。

そのため近距離の輸送は、直接トラックを使ったほうが効率的なので、鉄道貨物のニーズは長距離輸送に限られます。

 

鉄道貨物で運ばれているモノ

鉄道貨物の中心的存在といえるのがJR貨物のコンテナ輸送といえます。

どのようなモノが運ばれているかというと、たとえば食料工業品・紙パルプ・宅配便・農産品・青果物などです。

主に生活に密着した物資が輸送されており、車扱の輸送実績7割は石油類が占めているとされています。

 

貨物の形態はトラックから鉄道へと変化する?

トラック輸送の場合、ドライバーの人材不足が問題となっているため、国もモーダルシフトを積極的に推進しています。

ただ鉄道貨物を利用する課題として、

・小口輸送などに適していない

・急な出荷量増減に対応できない

・トラック輸送よりコストが高い

ことなどが挙げられます。

今後はモーダルシフトに向けたシステムなどが構築されるようになり、様々なニーズに対応できるようになれば、だんだんとトラック輸送から鉄道貨物へとシフトされていくこととなるでしょう。