運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送労働者の条件を向上させるためにサプライチェーンで求められること

2021.10.17
分類:その他

運送業界はモノの流れにおいて重要な役割を担いますが、流通の過程でとらえると様々な独立企業が受注と発注の繰り返しにより構成されています。

この商品供給に関係する企業連鎖をサプライチェーンといいますが、商品企画・調達・設計の他、資材の調達・製造・販売・保守・廃棄などに関連するすべての分野を含む概念ともいえるでしょう。

流通では複数のサプライチェーンが存在する

材料から完成品ができ、最終的に消費者に渡るまでの一連の流れがサプライチェーンといえますが、製品ごとにサプライチェーンが存在します。

ただどのサプライチェーンでも、

・アップストリーム…製造および加工

・ミッドストリーム…特定の場所や組織から別の場所や組織に製品が輸送されること

・ダウンストリーム…販売または流通

という3種類の局面があることは共通しています。

材料や部品、完成品を陸運・海運・空輸などで企業から企業、場所から場所に移動させる輸送は、サプライチェーンを円滑に運営する上で極めて重要となります。

製品はいろいろな部品から作られ、それぞれの部品にはサプライチェーンがあり、複数のサプライヤーが関与します。

そして部品ごとに色々な材料が使われており、その材料にもそれぞれのサプライチェーンが存在しているなど、製品1つとってもサプライチェーンは複数の階層が存在するといえます。

部品を第一階層に位置する企業から調達し、第一階層の企業は材料を第二階層の企業から調達し、運輸でサプライチェーンの階層を結びつけ全体を円滑に機能させます。

材料や部品、製品などを必要なときに求められる場所に到着させるために欠かせない役割を担うのが運輸であり、このサプライチェーンを通じたモノの移動を戦略的に管理することをロジスティクスといいます。

 

運送労働者の条件向上に必要なこと

サプライチェーンにおいて、主導企業のことをリード・ファームといいますが、これはサプライチェーン内のすべての企業に大きな影響力を持つ企業のことです。

たとえば大手製造業者や流通業者が該当しますが、特定の市場で支配的な存在となることから、サプライヤーはこのリード・ファームに商品を売るしかない状況にあるといえます。

支配力を有するリード・ファームの要求は、サプライヤー・運送業者・労働者には大きな圧力となることが問題です。たとえば商品価格の値下げや、過剰なサービスなどがその例といえるでしょう。

運送業界で働く労働者は直接の使用者だけでなく、サプライチェーンで影響力のあるのは誰か見据えなければなりません。

サプライチェーン全体で労働者の条件を向上させるためには、メーカとバイヤーのどちらが主導なのか、リード・ファームに応じた戦略を立てていくことが求められます。