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紹介者から運送トラックのドライバーを補う社員紹介制度は有効か

2021.11.06
分類:その他

運送業では、仕事も車両もあるのに、トラックを走らせるドライバーがいないことが大きな悩みとなっています。

そこで、社員紹介制度などを設け、従業員に紹介者になってもらいドライバーを補充することは可能なのでしょうか。

紹介制度を設けても問題はないのか

運送会社の中には、一緒に働く仲間を募集する方法として、紹介制度を設けていることもあります。

すでにドライバーとして働いている従業員に紹介者になってもらい、知人や友人などを新たなドライバーとして迎え入れる方法ですが、従業員の紹介だけに安心して雇用することはできます。

ただ、紹介者となってくれた従業員に、報奨金や謝礼などを渡すことは問題ないのか悩ましいところでしょう。

まず、ドライバーとして働いてくれる方を紹介してくれた従業員に対し、謝礼を渡すと職業安定法に違反する行為とみなされる可能性があります。

職業安定法では、

“第40条 労働者の募集をおこなう者に対して、一定の場合を除き報酬を与えてはならない”

と定めがされています。

「一定の場合」とは、

①自社が雇用している職員が紹介したとき、その対価が賃金・給与その他これらに準ずるものの支払いである場合

②職安法36条に定める厚生労働大臣の認可を受けている者(人材紹介会社など)の場合

です。

たとえば掲示板やホームページなど、ドライバーを募集していることを広く知らせ、それに対し報奨金など支払うことは職業安定法に抵触する可能性が高いと考えられます。

ただしドライバーとして働いている従業員が、知人や友人などを勧誘し、採用に結び付いたときに支払う報奨金について、事前に労働契約や賃金規程などに定めがあれば賃金・手当とすることができます。

そのため賃金や手当として支払うのなら、職業安定法第40条の規制の対象にはならず、法律違反にもならないと考えられます。

なお、税務上の取り扱いはドライバーに対する賃金なので、ドライバーの給与所得になるので、その点は説明しておいたほうがよいでしょう。

 

従業員から新しく働き手を紹介してもらうときの注意

現在ドライバーとして働いている従業員を紹介者として新たにドライバーを採用するとき、紹介者のドライバーにはその見返りを賃金として支払いましょう。

ただ、新規雇用したドライバーが採用後にすぐ退職しては意味がないため、たとえば3か月や半年など一定期間働き続けた場合にのみ支給するといった取り決めも必要です。