「一般貸切旅客自動車運送事業」とは、一般的になじみがあるサービスとして「貸切バス事業」が例として挙げられます。
他人の需要に有償で、自動車を使用し旅客運送する事業の中で、1つの契約により乗車定員以上の自動車を貸し切って旅客運送するバス事業が「一般貸切旅客自動車運送事業」です。
「乗合バス」や「タクシー」以外の旅客自動車運送事業で、たとえば観光や冠婚葬祭などを目的としてバスを貸し切るといったときに利用されます。旅行会社などが旅行者団体を運送するバスなども「一般貸切旅客自動車運送事業」に含まれます。
旅客自動車運送事業の中でも、乗車定員11人以上の自動車を使用し旅客運送する事業が「貸切バス事業」であり、「一般貸切旅客自動車運送事業」は正式名称です。
そこで、運送事業の中でも「一般貸切旅客自動車運送事業」を開始するまでには、どのような流れをたどるのか説明していきます。
「貸切バス事業」をはじめるときには地方運輸局長の許可を受けることが必要となりますが、そのためにまずは営業所を管轄する運輸支局に「許可申請書」を提出することが必要です。
許可申請書が運輸支局で受理されると、提出した書類をもとに運輸局で審査が行われます。
審査により、申請された内容が地方運輸局の許可要件を満たしており、基準に合致すると確認されれば、貸切バス事業許可を取得できます。
なお、事業用ではない「白ナンバー」のバスを使った営業行為は法律で禁止されていますが、許可を取得せずに貸切バス事業を行うと以下の罰則の対象となりますので注意しましょう。
・3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金
・6月以内の期間で自家用自動車の使用を制限または禁止
・事業停止処分
一般貸切旅客自動車運送事業開始までの流れ
「貸切バス事業」である「一般貸切旅客自動車運送事業」をはじめるまでに、地方運輸局長から許可を受けることが必要です。
事業開始に先立って、まずは「許可申請書」を提出することになりますが、具体的には次のような流れで開始できるようになります。
①申請準備
・営業所・休憩睡眠施設・車庫の選定・契約
・事業用自動車の選定・契約
・安全統括管理者・運行管理者・整備管理者・運転者の選任
・自己資金確保
・安全投資計画・事業収支見積書の策定
・直近1事業年度分の財務状況の確認
など
②許可申請書の作成と提出
許可申請書を作成し、営業所を管轄する運輸支局に提出します。
③法令試験を受験
試験は月1回実施されており、受験者は代表取締役などの代表権のある常勤役員に限定されます。
なお、1度目の試験に合格できなかったときには再試験を受けることができますが、再試験は1回までとなっているため、再試験が不合格であれば許可申請を取下げることが必要です。
④書類審査
法令試験に合格すると、書類審査が行われます。
⑥許可取得
ただし貸切バス事業の許可を取得しただけでは事業を開始することはできないことは注意しておきましょう。