運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送保険料を支払う場合の消費税の取扱いは?

2017.01.11
分類:その他

貨物を運送する際、運送会社は万一に備えて貨物に保険を掛けます。貨物に対して加入した保険料相当額について、運送料と別で請求した場合には取り扱いに注意しましょう。
運送保険とは、運送貨物に対して加入する保険で運送中に偶然の事故によって被る損害に備えて加入するものです。
この運送保険にかかる保険料は、消費税法上で課税取引になるのか、それとも課税取引なのでしょうか。


消費税が課税される取引とは?
日本で消費税が課税される取引は、国内において事業者が事業の対価を得て行う資産譲渡、資産の貸付け、役務の提供、外国貨物の輸入などです。
対価を得てということは、資産の譲渡、もしくは貸付け、役務の提供に対して反対給付を受けることです。


消費税が課税されない取引
そのため営利目的ではない親睦会の回避、寄付金などは消費税の対象からは外れます。また、土地の譲渡・貸付け、貸付金の利子、有価証券の譲渡、保険料などについても、消費に対する課税=消費税の課税対象という前提になじまない取引として考えられます。
そのため、社会保険診療、介護保険に係る介護サービス、住宅の貸付け、学校教育などについては社会政策的配慮に基いて非課税になっています。


保険料だから消費税は非課税?
保険料は消費税の課税対象ではないからと、簡単に非課税で処理してしまってはいけません。注意したいのは保険契約を誰が締結したかということです。
もし貨物を保護するために荷主が保険契約を締結し、保険料については運送業者が立て替えたという場合にはどうでしょう。
運送業者が保険契約を結び、荷主に代金を請求することになります。しかし貨物に対する保険料は荷主が事故発生による損害に備えて加入するものです。
しかし運送代金の一部を構成するものでもありますので、そうなれば保険料は非課税であっても運賃を構成する原価の一部となることで荷主に請求する際には保険料を含めた全体の金額が運送役務の対価として課税の対象になります。


保険契約の名義人によって非課税か課税か変わる
運送保険料については、消費税が課税されるのか非課税になるかは保険契約の名義人によって異なってきます。

・名義人が荷主のケース
運送料と保険料が区分されている場合には、保険料部分は非課税取引になります。ただし請求が運送料と合わせて一括という場合は課税取引になります。

・名義人が運送業者のケース
運送業者の処理方法に関係なく全額課税取引です。


保険料だから消費税非課税と判断できない
運送保険の保険料が消費税の課税対象になるかは、保険契約の名義人、もしくは請求方法などによって異なってきます。