運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業者の倒産件数は増加!?その理由とは

2016.09.01
分類:その他

大手の運送業50社の約半数は倒産や吸収合併で姿を消し、運賃の水準は下落してしまったこともあって倒産率は5倍へ跳ね上がりました。そのような状況でも新規参入業者は跡を絶たず、事業者数は10年で2倍以上に膨れあがっています。これはアメリカの運送業界が規制緩和によって起きた状況と良く似ており、10年遅れて日本の運送業界も同様の道を進もうとしているのです。

 

 

 企業間輸送は今後増加するのか?

 日本の高度成長期時代は製造工場が増加しましたが、今後は増えることは考えにくいでしょう。新たに製造業を始めるとしても、日本に工場を建設すると高い地代や人件費を払うことになります。そのため日本でなく、安い地代で人件費も低く抑えることができる国で工場を設けようと思うことになります。工場が増えなければ企業間輸送は増えませんので、トラックで運ぶ荷物が増加しないということになります。

運送業の景気は?

 今後15年間でトラック運賃が上がることはないかもしれません。その理由として、物の価格は需要と供給のバランスで決定するということがあげられます。需要よりも供給が少ない場合の価格は上昇し、需要より供給が多い場合の価格は低下しますので、運ぶ荷物が増えなければ運賃も上がらないということになります。需要の低下に歯止めを欠けるしかないでしょうが、歯止めを欠けるにはトラックを減らすしかなくなります。このようなことから考えられるのは、今後淘汰される可能性があるのはトラックの所有台数10台以下の運送会社かもしれないということです。

実際の運送業の倒産件数

 2008年以降2014年まで連続400件以上の倒産件数が推移されている運送業ですが、倒産した業態は70%以上がトラック運送です。さらに倒産の原因になった理由は販売不振が構成比約73%を占めており、負債規模別で見た場合には約48%が1,000~5,000万円未満で、その次が1~5億円未満が構成比約29%になっています。つまり倒産した全体の約94%が負債額1千万~5億円未満のトラック運送業で、その原因は儲からなかったからということになります。今後も宅配ばかりに需要が傾き企業間輸送は増える傾向にありませんので、ますます小規模な運送業は経営が難しくなってくるでしょう。

運送業は倒産を回避するための対策を

 小規模なトラック運送会社は宅配業しかないのかと考えても、宅廃業として実際に成り立っていくのは全国を網羅する経営資源豊かな大手企業だと言えます。さらに宅配業は今後さらに時間指定が細かく、運賃は安くなっていくことが考えられます。運送業の倒産件数は2015年に少し減少しましたが、一時的に数字が改善されてもすぐ元に戻ってしまいます。小規模の運送会社は倒産を回避するために様々なことについて対策を講じていく必要があると言えるでしょう。