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トラック運送業者の保険は任意保険?自家保険?

2016.09.13
分類:その他

運送業者はトラックを毎日長時間稼働させますので事故発生の確率も当然高くなります。自動車保険は任意保険に加入することが必須でしょうが、費用としての負担が気になるところです。

 

 

任意保険と自賠責保険の違い

自賠責保険は公道を走行する自動車であれば必ず加入している強制保険で、法律で義務化されているため加入していなければ刑罰の対象になります。任意保険の場合には自動車の所有者が任意で加入するもので、加入することで補償を手厚くすることができます。この2つの違いの1つには事故が発生した場合の賠償責任の補償違いがあります。

補償される内容の違い

自賠責保険は人身傷害のみの対応で支払限度額120万円(後遺障害が残る場合は別途支払いり)が補償されます。ただし任意保険よりも保険金が支払われるまで時間がかかることでしばらく通院費を立て替えておかなければならないこともあります。

保険料はどのくらい必要?

自賠責保険では不安がある場合には任意保険に加入することになりますが、その際自動車保険に必要な費用は自賠責保険と任意保険の保険料を支払います。任意保険の保険料は、例えば2t超のトラック1台の場合であれば対人賠償責任保険と対物賠償責任保険を無制限で加入すると年間約35万円が必要です。そのため自賠責保険の保険料が年間費用49,900円、それに任意保険の約35万円をプラスして年間約40万円という保険料が必要になります。仮に2t超クラスのトラックを500台保有している運送業者の場合、保険料負担だけで年間2億円以上、小規模な100台保有の運送業者でも4,000万円以上という額が自動車保険に費用なのです。

任意保険に加入しない考え方も

大手の運送業者でもそのような保険料負担を避けるために任意保険に加入しないで社内でお金を損害引当金としてプールしておき、事故が発生した時にその引当金から賠償金を支払う体制を取っていることがあります。これを自家保険と言いますが、対人賠償保険は自賠責保険に上積みする保険なのでもし事故が発生したとしても自賠責保険の補償内で収まる事故の場合には任意保険に加入していないほうが保険料の節約になります。自賠責保険の補償限度額を超えた事故の場合でも、自家保険で社内にプールしたお金があることで損害賠償の費用に充てることができれば保険料を節約することになるでしょう。

本当に自家保険でも大丈夫?

交通事故などのリスクに対しての管理に重要になるのはリスクの存在を認識することです。まず可能な限りでリスクを発生させないための対策を講じ、必要に応じて保険にリスクを転嫁していくという管理方法が良いでしょう。交通事故の規模によっては事業を継続することが困難になるくらいの責任を負う可能性もあります。そのためリスクを保険に転嫁せず自社の預金などで備えるという方法で、本当にいざという時にまかなうことができるかを検討する必要があるでしょう。