自動車の任意保険に加入していないトラックと交通事故を起こしてしまった場合のために、無保険車傷害特約でドライバー、車両保険で車両を防衛しなくてはいけない時代になっています。無保険車が絡むトラブルが営業トラック間で増加傾向にあるのはなぜなのでしょう。
無保険トラックが増加する理由
例えば重大事故を起こしてしまい、複数人が死亡した状況の中で保険を使うと、その後の保険料はそれまでの1.5
くらいまで増えることもあります。
高くなった保険料が支払えずに滞納し、結局契約解除に至ってしまうケースがあるようです。
物流コンサルタントの存在
事故を解決する「物流コンサルタント」という名称の解決屋を囲む運送事業者もいます。自賠責で解決できる事故でも立て替え払いで任意保険を使い、結局任意保険の保険料が高くなってしまう矛盾をアドバイスしているケースもあるようです。
さらには、死亡事故などを起こしてしまった場合も自賠責の範囲で済ませるように被害者と交渉させ、予定した支払いよりも抑えることができた差額を解決屋が取るというものです。
保険未加入の確認が甘い?
トラック運送事業を新規で始めるには許可の取得が必要です。その際に、100台以下の事業者は対人5,000万円以上、危険物を扱う事業者は対物1億円以上の保険を目安に加入する必要があるのですが、保険加入については資金計画の確認項目というだけで保険証券の写しを添付する必要はありません。
社会保険の加入状況などは巡回指導や行政監査などで確認されますが、自動車の任意保険に加入しているかの状況については確認の項目に含まれていないため、行政処分の基準日車数表にも記されていません。
公道を使用する事業であり、損害賠償能力の証明として不可欠な任意保険に加入しているかがしっかり確認されないのは問題だと考えられます。
任意保険はあくまで任意
しかし任意保険である以上強制ではないため事業者に任せるしかないことが現状で、今後、運送の現場で高い品質のサービスを提供していけるようにするには車両不足の解消と任意保険の加入が不可欠だといえるでしょう。
過去のトラック事故の事例を参考に
過去に起きた交通事故でも、危険物を積載した大型トラックが一般車両に追突し奥単位の高額賠償が発生するといったケースがありました。
衝突の危険を感じていたはずなのに、積荷が倒れてしまうと責任を問われると考えてブレーキを掛けないなど、重大な過失による事故のケースでは実刑判決も出たことがありますが、これは限度額が無制限の任意保険での被害弁償が見込まれることが斟酌されているようです。
企業では万一事故が起きた場合のために、必ず自動車の任意保険には加入しておくようにしましょう。