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業務中の交通事故は不申告にしない!会社がすべきことは?

2016.12.26
分類:その他

誰しも交通事故を起こしてしまった時にはパニック状態に陥ってしまうものです。それが業務中であれば会社に報告しなくてはいけないことを恐れて逃げてしまいたくなるかもしれません。
そのため業務で車両を使う会社は従業員に対して、交通事故を起こしてしまった場合の報告義務など取るべき対応について徹底しておきましょう。

 


搭乗していたのは社用車?自家用車?
従業員が交通事故を起こすケースとして、社用車なのかマイカーなのか、業務中なのか通勤途中なのか、物損事故なのか人身事故などに分かれるでしょう。
どの場合でも事故を起こした従業員本人だけでなく、会社も責任を負うことになる点に注意しましょう。


会社の責任とは?
まず考えられる責任に、民法で定められた使用者責任と、自賠法の運行供用者責任があります。
・使用者責任
従業員が交通事故を起こしてしまい、第三者に損害を与え不法行為責任を負う場面が事業の執行における場合、従業員だけでなく会社も損害賠償責任を負うことになります。
事業の執行に該当するかについては、その行為の外形を広く観察して、職務の範囲内の行為と認められれば該当すると判断されます。事業そのものでなくても密接に関連する行為も含むため、広い範囲で認められる傾向にあると言えるでしょう。
・運行供用者責任
運転者ではなく自己のために自動車を運行の用に供する者(運行供用者)に損害賠償責任が発生するという制度です。
加害者運転者となった従業員の使用者である会社は、加害自動車の運行供用者であると判断されれば損害賠償を請求されることになります。車の保有者は運行供用者とされていますが、保有者には車の所有者も含まれます。


社用車での事故は会社にも責任が生じる?
社用車で業務中に事故を起こした場合、会社は当然損害賠償責任を負うことになるでしょう。
しかし従業員が社用車を無断で私用に使い事故を起こした場合はどうでしょう。この場合でも状況次第で会社は責任を負う可能性があります。
従業員が社用車を持ち出すことになった経緯や業務との関連性、日常的な使用状況などで総合的に勘案されることになります。


管理体制が整備されていないと…
会社が社用車を就業時間外に使うことに対して、明確にルールを設定していない場合や、社有車の鍵の管理体制が整備されておらず簡単に持ち出しが可能な状況の場合、さらに日常的に私用で使っていた事実がある場合などは会社も責任を負う可能性は高くなるでしょう。


業務中にマイカーで事故
業務でマイカー使用を容認していた場合には、実質的に社用車を使っていたケースと変わらない状況と判断できますので使用者責任や運行供用者責任は認められるでしょう。
そのため会社がマイカー使用を禁止していたのに、従業員が無断で使っていた場合には責任は発生しないと言えるでしょう。


管理体制の整備と報告義務の徹底を
従業員の交通事故に係る対策を事前に行うことも大切ですが、万一事故が発生した場合には社用者、マイカーのどちらのケースでも必ず会社に報告をすることを徹底しましょう。
そして安全運転を教育して、事故発生を未然に防ぐことが大切です。