運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業に多い経営者と労働者の残業代を巡るトラブルとは?

2017.02.03
分類:その他

運送業のドライバーは自営業者意識が高く、運送業の経営者も自営業者扱いのドライバーに対して、残業代など割増賃金を支払う必要性を欠いている傾向が強く見られます。

運送業の場合には、現場に行けば1日いくらいった給料体制になっていることも多いからか、雇用されているというよりも個人事業主として労働していると意識している傾向が強いと言えるでしょう。
この従来の労務管理のまま現在に至っていることで、まとまった残業代を請求され多額の損失を被るといったことがなければ現状のままという形が継続されると考えられます。
そのため運送業を営んでいる法人は、労働者の残業代として割増賃金を請求されるリスクが特に高い状況であるということが問題になっています。


労働者の権利だということを忘れずに
運送業の経営者に多いのは、これまでの残業代を請求されるとなぜか被害者の意識を持ってしまう人が多いということです。
しかし残業代として割増賃金を受取ることは労基法で認められた正当な権利です。そのため運送業を営む経営者で、ドライバーなど労働者に対して残業代を支払わなければならないという意識が薄い人は注意が必要です。


ドライバーが残業代を請求するに至るきっかけは?
これまでは残業代を支払ってもらっていなかったけれど、請求すれば多額の残業代をもらえるとわかれば請求する意欲が高まるトラックドライバーが増えてもおかしくありません。
実際、トラックのドライバー同士で残業代の請求についての情報交換を行ううちに、本来であれば受け取ることができるはずの残業代を請求することは当然に権利ではないかと考えるようになるようです。
運送業は長距離を運転することもありますし、手待時間が長くなることもあります。そのため労働時間は長時間に及ぶことも多々あり、残業代も積み重なれば多額になるでしょう。
残業代が少額であればドライバーも会社と争うことを避けるかもしれません。しかしその額が数百万円まで膨れ上がっているとしたら、たとえ経営者との関係が悪くなったとしてもこれまでの残業代を請求したいと考える人もいるでしょう。


実態と形式のギャップが大きい事業所は注意
残業代をドライバーに対して支払う意識が薄い経営者は特に注意してください。実態と形式の差が大きい状態は、ドライバーから残業代の請求を受けやすい状況であると言えます。
ドライバーは個人事業主に近い実態だとしても、形式としては労基法上の労働者に該当することがほとんどです。勘違いしていたでは済まされませんので、多額の残業代を請求されて困ることのないようにしましょう。
ドライバー側としても残業代を会社相手に請求することはとても大変なことですが、ガードがゆるい会社相手なら簡単なことです。
しかしそもそもそのような紛争が起こらないように、労基法に基づいた賃金をドライバーにしっかりと支払っておくことが経営者にとっては大切なことです。