運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業を営む上で倒産を回避するために必要なこととは?

2017.03.06
分類:その他

運送業界で新会社を立ち上げても、長く経営を続けていくことは容易なことではありません。大手企業だから生き残れるというわけではなく、中小運送会社でも利益を上げて経営を続けていることもあります。
しかし現状としては、小さいトラック運送業ばかりが儲からなかったことを原因に倒産しています。


運送業のピラミッド型構造が倒産件数を増大させる?
運送会社での受発注は、ほとんどの場合縦の関係により成り立っています。荷主は大手運送会社へ仕事を依頼し、それを下請けの運送会社が請け負う形となっていることが多く、さらには孫請けという下請けの下請けである運送会社が仕事を引き受けることもあります。
そのため孫請けの運送会社に行き渡る運賃は非常に安くなり、孫請けの立場にある運送会社の経営状態は悪化してしまいがちです。
ピラミッドのような型での仕事の受注は、末端の下請け運送会社になればなるほど経営は薄利多売となり、健全な経営が困難になりさらに中小運送会社の倒産件数を増大させることになります。


中小運送会社ばかりが打撃を負っている
倒産した業態を見た場合には、全体の7割以上が道路貨物運送(トラック運送)です。倒産の原因として、構成比の7割以上が販売不振であり、2014年のデータを参考に倒産負債規模を見ると半数近くが1,000~5,000万円未満になっています。
もっと幅を広げて負債額1,000~5億円未満の倒産で見た場合には全体の9割以上を占めます。


宅配業は需要が増えているのに…
今後も宅配は増えていくけれど企業間輸送が増える見通しはなく、中小の運送会社は経営が困難になることが予測されます。
オリンピック特需など一時的に数字は改善されるかもしれませんが、消費税が増税されるとその影響で一気に倒産件数が増加することも予想できます。


取引先はいくつかに分散させることが必要
中小運送会社が倒産してしまうことを回避するために何をすれば良いかを考えた場合、それは宅配業務に参入することではありません。
健全な経営を継続していくために取引先を分散することが必要になります。中小の下請けの運送会社の立場にある場合には、業務の大部分を得意先1社からのみ受注していることは危険です。


取引先1社だけだと連鎖倒産を招く危険性が高くなる
仮にそこからの仕事が途絶えてしまったり、得意先が経営不振に陥って倒産してしまったりすれば、その影響を受けて連鎖倒産ということにもなりかねません。
そのような事態を回避するためにも、取引先をなるべく多く分散して売上比重が1つに集中しないようにしましょう。


運送業を営むならしっかりとリスクヘッジで倒産回避
運送業を営む上で、取引先を分散してリスクヘッジを検討することは長く経営を続ける上で非常に重要なことです。
その時だけの収益だけでなく、長期的な視野で見つめていくことが経営の寿命を長くすることに繋がります。
取引先の倒産、そして仕事量の減少などについてのリスクは、自社の倒産を防ぐために常に検討していくことが必要です。