運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

トラック運送業のドライバー不足は深刻化?今後どうなる?

2017.03.16
分類:その他

トラック運送業は現在危機的とも言われるドライバー不足で、インターネット通販が普及して負担は増す中で物流システムの今後が問われています。


なぜトラック運送業は人手不足?
トラック運送業者は、規制緩和が実施された1990年をきっかけに新規参入が進んでいったことで急増しました。
事業者が急増したことで競争が激化し、ドライバーの平均年収は減少することになりました。


働き手が集まらない理由
現在でも全産業の平均よりも50~60万円ほど低い状況が続けば、どうせ肉体労働をするならもっと条件が良い業種のほうが良いと考えるのは当然のことでしょう。
同じ肉体労働でも建設業のほうに人材は流れてしまい、トラック運送業で働きたいと希望する人も減少しています。
そしてトラック運送業での働き手も高齢化している状況です。8割近い人が40歳以上で、30歳未満の人はたったの数%しかいません。


人手不足の中でもニーズは増加中
人手不足は深刻化しているのにもかかわらず、インターネット通販の拡大によって小口輸送は増加しています。国交省調査は事業所の約70%が運転手不足を訴えているとも公表しています。


深刻な人手不足の原因
なぜトラック運送業が深刻な人手不足の状況に陥ってしまったのか、次のような理由が考えられます。

・過酷な労働環境
物流での作業は昼夜を問わないことから勤務時間も一律ではありません。作業は運送だけでなく、搬入や積み込みのための荷さばきなど多岐に渡る上に拘束時間も長時間になる傾向があります。

・賃金が上がらない
物流業は企業の業績によって賃金を上昇させられるかが関係します。そのためドライバーが不足しているからといって高待遇の労働条件を準備するために、簡単に賃金を変動させるということはできません。他の産業より給与が増加する率も低く、歩合給である要素が強い傾向があります。

・免許制度で労働に規制がかかっている
平成19年に運転免許制度が改正されたことで、普通免許を取得している場合に運転可能としていた車両総重量8トン未満の車両は5トン未満の車両へと変更になりました。
車両に冷凍ユニットを設置した場合には総重量5トンを超えますので、新たな免許制度では2トン車も運転できなくなる可能性があります。
また、中型や大型車両を運転するためには、普通免許を取得してから一定の経験年数が必要です。


高卒者を新規で確保するために
若いドライバーが即戦力になりにくいことも、ドライバー不足の要因となっていると考えられました。
そのためドライバー不足をなんとか解消していこうと、中型免許の取得の条件である普通免許取得から2年経過という条件は、道路交通法改正により18歳から取得可能となる準中型免許が新設されました。他にもトラック全長規制についても、最大25mに緩和されています。
トラック運送業の人手不足の問題は、今後事業者側が制度改正に伴い積極的な人材採用を実現することで改善されていくことが望ましいでしょう。