運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業が抱えているドライバー不足の問題点とは?

2017.04.05
分類:その他

トラック輸送の現場で深刻になっているのは、ドライバー不足です。輸送需要の増減に関係なく、募集しても集まらない状況が続いています。

ドライバー不足だと言われながらも、現場では輸送が通常通り流れている状況のため、荷主企業からは本当にドライバー不足なのかと疑問視する声もあります。
しかしその実態は、物流を止めることができない事業者の責任感やドライバーの過重労働により成り立っており、予備のドライバーが常に運転をしながら、事務や管理職までもドライバーを兼務するといったケースも少なくありません。
しかしこのような体制にも限界があるため、安全面でのリスクが高まることが懸念されます。


なぜドライバーが不足している?
トラック輸送が安定するためにはドライバーの確保が重要課題となりますが、なぜドライバーが不足しているのか、その背景を改善させる必要があると考えられます。どのようなことが背景にあるのかを確認しておきましょう。

・長時間労働で低賃金
ドライバーの労働条件を確認してみると、他業種よりも労働時間が長く低賃金という特徴があります。
きつい仕事でも賃金が高ければ稼げると思われていたのは過去の話で、貨物運送業の平均月収を他産業や建設業と比較すると5万円ほど差があります。
賞与や特別給与などを合わせて年収で考えた場合、400万円程度となり他産業より100万円以上少ないことが現状です。

・賃金体系が歩合給
年功序列ではなく歩合給割合が高いため、20代後半を過ぎて年齢が高くなると他産業との格差が開いていきます。
さらに月の労働時間も、全産業や建設業と比べると30時間以上長く、長時間労働なのに低い賃金という部分が人気を低迷させている理由です。

・輸送現場での労力が厳しい
輸送現場は荷物の積み卸しが手作業で行われることが多く、労力が厳しいものであることも問題です。
さらに都市部での輸送現場になると配送先に駐車できず、路上駐車したことで取り締まりによる駐停車違反になるといった実態もあります。
違反を重ねて運転免許が停止や取消になってしまえば、仕事だけでなくプライベートにも支障が出てきます。


管理方法も見直しが必要?
デジタルタコグラフやドライブレコーダーを導入することは管理面で大切なことです。しかしこれが、「ドライバーは束縛されない」という職業選択の妨げにもなっています。
ドライバーは自由ではなく、管理される職種になっているため、ドライバーへの選択に食指が働かなくなっているとも考えられます。
しかし事業者としては、安全面などを強化するためにも必要なことですので、人員不足を解消するのか、完全面を優先させるのか、様々な面で問題点を改善させていく必要があると言えるでしょう。