運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業が抱える問題とは?働きやすい環境づくりに必要なもの

2017.04.17
分類:その他

日本のトラック輸送産業はくらしと経済のライフラインとして必要不可欠な存在です。市場規模も15兆円を超えるなど、なくてはならないものだと言えるでしょう。
東日本大震災などの際にも、機動力を発揮したトラックにより大量の緊急支援物資が輸送され、まさに国民の命綱として役割を担いました。


ニーズは高いのに経営は厳しい?
トラック運輸業界は中小企業が99%を占めている業界で、しかし緩やかな回復基調が続く中でも少子高齢化で若年ドライバーは不足し依然厳しい状況だと言えるでしょう。
安全で安心な輸送サービスを提供し続けることができるように、業界の現状と課題に対する対策を構築していく必要があります。


若年者の労働力不足による問題は慢性的
トラック運送事業を含む自動車運送事業は中高年層の男性労働力に依存している状態と言えます。
40歳未満の若い就業者数は全体の3割程度で、賃金水準も全産業平均に比べて低い水準で推移している状況です。
40~50代の中高年層に大きく依存する中、労働力を確保するために業界内で取り合うという状況になっています。


マイナスイメージが先行している
過酷な労働や拘束時間が長いということ、賃金の水準が低く、マイナスイメージが付きまとうため、安定して若い労働力を確保できるようにイメージを向上させていくことも必要です。イメージを向上させるために、若い人でも働きやすい環境を作ることが必要だと言えるでしょう。


荷主との取引条件は適正か
トラック事業者は契約交渉で荷主に対して弱い立場であり、荷主の要望に応えることを優先してしまう傾向にあります。しかしそれによって輸送の安全が犠牲になることは避けなければなりません。
そのため国は、トラック運送事業者に対して荷主と協力して適正取引を確保することを努力義務としており、運送契約も業務や運賃、料金等などの重要事項は書面で共有することをルール化することを推進しています。


トラック運送業を営む上で必要なこと
トラック運送業界が低収益となった背景には、参入事業者数が増加したことで競争が激化し、さらに燃料価格の変動などが挙げられます。
人手不足問題は、末端業者が最低限の適正運賃を受取ることができなければ解決に至らないとも考えられます。
このように様々な課題を抱えている状況であり、厳しい経営環境におかれた中小企業で占められていることからも、今後は原価意識の向上や原価管理の徹底で経営体質を改善していくことが必要だと言えます。
人材教育や地域への働きかけなど、企業単位でできることを取り入れながら人手不足の解消に向けた取り組みなども検討しておく必要があるでしょう。