運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業が違反してはいけないのは労働基準法だけではない?

2017.04.26
分類:その他

業界によっては労働時間が慣習的に長時間化されているというケース、残業をしているのに出していないのは他社も同じと考えられているケースがあります。
実際に労働時間や残業について業種によって例外に似た定めがあり、運送業などがその例で、ただ労働基準法を遵守すれば良いだけでなく改善基準告示も遵守する必要があります。


運送業に設けられた特別な規程とは?
従業員を雇用する場合には、労働基準法で法定労働時間は1日8時間、1週間40時間までと定められていますので、これ以上の労働時間は別途に残業代や深夜割増賃金を支払う必要があります。
しかし運送業の場合には、例えば積込の待ち時間やフェリーの移動時間など、ある程度決められていても変則的になる事情が存在します。そのため運送業の場合には、改善基準告示に注意する必要があります。


改善基準告示の対象
改善基準告示の対象となるのは、労働基準法第9条に規定する労働者、さらに四輪以上の自動車の運転業務を主として従事する者です。
そのため労働者ではなく事業者である一人親方は対象にならず、トラックを持込んで勤務している人は給料を貰って働いている労働者であれば改善基準告示の対象です。
また、運転業務を主として従事する者が対象となるため、月に数回の乗務という人やクレーン車のオペレーターなどについては対象ではありませんし、四輪以上の自動車に該当しないバイク便のライダーなども対象になりません。


改善基準告示特有の定め
改善基準告示では、仕事を始めてから終わるまでの時間を拘束時間としていますので、間の休憩時間や仮眠時間も拘束時間に含まれます。
1日の拘束時間の限度は13時間が原則で、状況によっては最大16時間まで延長することが可能です。ただし15時間を超えた労働は週2回までに制限されています。

・始業時間によって拘束時間が変わる?
拘束時間の数え方は、始業時間から起算して24時間以内の拘束時間で数えます。
例えば9時から21時まで働き、次の日に6時から17時まで働いたとします。
普通に計算すると1日目の拘束時間は12時間で、2日目は11時間になります。しかし改善基準告示では24時間以内の拘束時間で数えますので、2日目に朝6時から働いていることにより1日目の9時から2日目の9時の間に働いた3時間分が1日目の拘束時間にプラスされます。
2日目の拘束時間はそのまま6時から17時の11時間で数えるため、始業時間によって二重にカウントされることに注意しましょう。

・労働時間や休息期間とは?
労働時間は運転や整備、荷扱いなどの作業時間と、荷待ちの手待ち時間を合計した時間です。
休息期間は労働者が自由に過ごすことができる仕事から完全に解放された時間です。勤務と次の勤務の間の時間で、拘束されることのない時間です。
勤務が終了したら原則として11時間以上、最低でも継続して8時間以上の休息期間を設ける必要があります。この休息期間が9時間未満になる回数も、週2回までが限度とされています。

・運転時間の限度
他にも、運転時間の限度とし1日の運転時間は2日平均9時間以内、1週間の運転時間は2週間ごと平均44時間以内、連続運転時間は4時間以内といった定めがあります。


遵守すべき法律は労働基準法だけではない
運送業を営む場合には労働基準法だけに注意するのではなく、この改善基準告示の内容についてもしっかりと理解しておく必要があることを認識しておく必要があります。