運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業界で過酷な労働を強いられる長距離運送の問題とは?

2017.09.29
分類:その他

トラック運送業界は過当競争や運賃低下、さらに軽油価格などの高騰で深刻な経営難に陥っている状況です。
さらに平成 24 年 4 月に起きた関越自動車道での高速ツアーバス事故などをきっかけとして、自動車運送事業者の監査方針や行政処分基準等の改正が実施されました。
改正が行われたことによって乗務時間の基準に著しく違反すると事業停止 30 日になることなど、長距離輸送を行う運送業者では問題になっていると言えるでしょう。


拘束時間や運転時間がオーバーする理由
積み込みや荷卸し場所が複数あるとその分運行時間は長くなり、荷主先で待機する時間も立派に拘束されている時間です。
しかし荷主にとってのコスト削減や、消費者ニーズに対応できているのは、トラックドライバーが不規則な就業形態や長時間労働を行うことで実現しているとも言えるのが現状でしょう。
また、渋滞や事故で計画通りに運転できないというケースや、4時間毎に休憩する場所がないというケースなど、PAやSAなど自体が不足していることも問題だと言えます。


何らかの改善策はないのか?
中継輸送の場合には、上手くローテンションが組めるか、中継拠点の手配など事業者が工夫することができても中小事業者では困難なケースも考えられるのでそこをどのように解決するかが問われます。
また、待機時間に対応する料金を定めれば、荷主側が待機時間を減らす努力を行うのではないかとも考えられるでしょう。実際、待機時間は労働時間であるという判決も出ています。
待機時間にも運賃が貰えるのなら、トラック運送事業者も人材を集めて投入し、待機させる用意があるでしょう。しかし実際には待機時間分の運賃は荷主から受取ることできていないのが現状です。
荷主側にしてみれば、運賃の説明変数が距離と物量であることから、待機時間を金銭換算する尺度がなく労働時間だと言われたとしても払えないというところだと言えます。


最も深刻なのはドライバー不足
トラック運送事業者にとって、最も深刻な問題はドライバー不足です。基準を守っていても賃金は低下したままという状況が続けば、ドライバー職に魅力を感じる人はどんどん少なくなり、いずれドライバーを確保すること自体がさらに困難になると考えられます。
物を運ぶことができなくなり、事業が継続できなくなれば最悪の場合倒産ということも否定できません。
現在はベテランドライバーが長距離運行を支えている状況ですが、運送業界に若い労働力を呼び込むためにも低賃金や人手不足といった悪循環を絶つことがまずは必要です。
そのためにも適正運賃の収受ができる環境が整備されることが求められると言えるでしょう。