運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送会社が運送費用を値上げ中!待遇改善で消費拡大になる?

2017.10.15
分類:その他

ヤマト運輸が個人向け宅配料金を27年ぶりに値上げすることを表明し、2017年10月からついに値上げされました。
その原因はトラック運転手が人手不足で、これに続けとばかりに各社で次々に値上げの方針が打ち出されています。
料金が値上げされる事が従業員の待遇改善に繋がれば、人手不足も解消され消費の拡大にも繋がる期待ができるという考えでしょうが、実際にはどのくらいの効果を見込む事ができるのでしょう。


労働者の負担がこれで解消される?
ヤマト運輸のライバル会社と言える佐川急便も、11月21日に引き上げが決まっていますし、日本郵便も2018年3月1日から基本料金が引き上げになります。
実際に運送事業者の人手不足は慢性化している状態なので、日常的なサービス残業などを含む長時間残業が問題視されています。
料金を値上げした事で利益が増え、残業代を適正に支払う事ができれば各労働者の負担を軽くするだけでなく所得が増える事に繋がると考えられるでしょう。


負担が増えるのは個人の配送依頼者
しかし宅配便は水産物や果物など、産地直送品の配送にも使用されますので、個人生産者も発送に使用しているでしょう。
料金の値上げ分は生産者と購入者、どちらが負担するかも問題になるでしょうが、宅配便がなければビジネスとして成立しません。
値上げで配送を依頼する顧客の支出が増えるので、その分他の消費に回るお金は少なくなるとも考えられます。


運送会社に見込まれる増益効果は?
値上げで全体の配送単価が仮に2%上昇したと考えた場合、理屈上はヤマト運輸が約200億円、佐川急便は約125億円の増益効果を見込むことができます。それが労働者に支払われることになれば、所得増加による消費拡大に繋がるとも考えられなくもないでしょう。
しかし一般的な家計の状況を考えた場合、総務省公表の家計調査では2人以上の世帯の実質消費支出は多少増減しているものの増えているとは言えません。
給料が上がれば消費拡大に直結するとも考えにくいので、むしろ値上げにより負担が増えた個人の配送依頼者に対し、再配達がない時には料金を割引するといったサービスを検討してもらう必要性の方が高いでしょう。


今後の宅配料金の行方は?
宅配各社はネット通販や大口顧客と値上げ交渉を進めていますが、現在契約している料金の2倍以上の料金が提案されているという例もある様です。
しかしなぜ値上げする必要があるのかなどをしっかり説明することや、サービスの改善努力などが見えなければ、これまで築いた信頼を失ってしまう事になりかねないでしょう。