運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業で下請事業者が不利にならないための下請法とは?

2017.12.08
分類:その他

トラック運送業において、荷主、元請・下請事業者の立場は多層化する関係にあり、顕在化している不適正な取引を防止していくためにも取引のルールや体制を整備していくことが重要です。


健全な事業運営を行いながら、安全に環境対策を強化していくためにも、軽油価格を含めたコスト増は荷主、元請事業者、下請事業者でパートナーシップを結び適切に分担することが望まれます。
さらに適正な取引が実施されるために、契約内容は書面にして明確化することや手待ち時間を解消することなども必要と言えるでしょう。
トラック運送業が適正な取引を行うためにも、正直者が損をしない健全な競争環境の整備が重要です。
その取り組みの1つとして、元請事業者(親事業者)による受注者(下請事業者)に対する優越的地位を濫用する行為を取り締まるために、「下請法」が特別に制定されています。


下請法で禁止されている様々な行為とは?
仮に下請事業者には責任がないのに、親事業者が下請代金の額を発注後に減額することなどは禁止されています。双方の間で、値引きや歩引き、または協賛金という名目のもと、発注後に一定額を代金から差し引くということが合意されていたとしても下請法違反です。
他にも下請事業者から請求書が送付されていない、または親事業者の事務手続きが遅れているといった理由で、下請代金に対する支払いを遅らせるということも公正な取引と認められていません。

取引の対価設定が下請法違反になるケース
下請法の適用対象である取引を行う場合には、親事業者が下請代金の額を決める時、通常支払われる対価より著しく低い額を不当に定めれば下請法の「買いたたき」に該当することで下請法に違反していると判断される可能性があります。
さらに燃料費高騰などの際にも、協議を行わず一方的に従来どおりの単価を据え置くといった行為も下請法上問題になると考えられるでしょう。

・作業内容を変更することで下請法違反になるケース
また、親事業者は運送委託にあたり、着時間指定や倉庫荷役など付帯業務を依頼する場合には、下請法で交付が義務付けられている発注書面に記載の上、対価を含んだ下請代金額を設定して発注することが必要です。
また、発注後に費用負担なく貨物量や配送ルートを変更する行為や、支払手段を手形払にしている場合、一時的に現金で支払うからと下請代金から短期の自社調達金利相当額を超えた額を差し引くことも違反です。


違反業者は勧告だけでなく公表されることに!
下請法の対象になるかは、取引を行う当事者の資本金による区分と、取引の内容から判断されます。
仮に親事業者が下請法に違反した場合、公正取引委員会から違反行為の取りやめ、下請事業者が被った不利益に対する原状回復、再発防止措置について勧告を受ける事となり、さらに企業名や違反事実について公表されますので十分に注意しましょう。