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働き方改革が重要と言えるのは建設業と運送業である理由は?

2018.02.14
分類:その他

建設業や運送業では人手不足が深刻な問題として、しばしば取り上げられています。
その理由として長時間に渡る労働時間が大きく影響していると言えるでしょう。
今後、建設業や運送業では、この問題を解決するためにも働き方を改革し、若い働き手を獲得しやすい環境整備が必要だと言えます。


建設業や運送業の労働時間はどのくらい?
厚生労働省の調査による全産業の年間労働時間を見た場合、建設業やトラックやバスなどの自動車運転業務は全産業の平均より1~2割長くなっています。
記憶に新しい時間外労働が問題となったケースでは、新国立競技場の工事現場で建設会社の若手社員が自殺した件で、遺族は月200時間という時間外労働を原因とした労災を申請しています。
本来ならあってはならない長さの時間外労働ですが、今後、東京オリンピック・パラリンピック関連の工事が本格化していくことで、さらに長時間労働が拡大される恐れも懸念されます。


休日を増やして労働時間の短縮が必要
政府も事態を重くみたのか、建設業や運送業の長時間労働を是正する指針をまとめています。
指針自体には強制力こそはありませんが、法改正されるまで放置するのではなく、働き方を今すぐ見直して改革を進めていくべきだと言えるでしょう。
大手総合建設会社の大林組などは、現場労働者に4週間のうち8日間は休日を確保するといったモデル工事現場を作るようですが、このような勤労体制は全ての建設現場で築いていくべきです。


労働時間短縮には作業の効率化が欠かせない
実際、休日を増やすということは労働時間を減らすことになるので、それに伴って工期に遅れが出ないように現場作業は効率化していく必要が出てくるでしょう。
限られた人員で作業を効率化することには限界があるので、これらの問題は業界自体が工法の工夫や機械化導入といったことを推進する動きが必要になると考えられます。
そして運送業でも荷待ち時間が労働時間を長時間化させる要因として挙げられるため、この荷待ち時間を短くできるように、積み下ろし作業の効率化や依頼主の協力なども欠かすことができません。


今後、政府が打ち出すべき政策とは?
そもそも建設業や運送業を営む多くは中小企業で、再編が進んでいないという構造上の問題から生産性が上がらないという部分も改善が必要です。
受注競争を抑えること、そして情報技術(IT技術)を導入するといった方法で効率化できるように、企業が再編できる政策を政府が打ち出していくことも求められます。


働き方を改革しなければ人手不足は解消されない
日給制で働く技能者の場合、労働日数を減らせばその分、所得が減少することにもなるため、生活に困窮しないための雇用や給与制度の見直しも必要になるでしょう。
これらの長時間労働や低賃金、さらに建設業で問題視される社会保険の未加入問題など、様々な問題をクリアしなければ、いつまでたっても人材確保はできず、人手不足の状態が続くことになります。
今後、建設業や運送業では、業界自体の存続にかかわる問題だと危機感を持ち、働き方の改革を進めていくべきだと言えるでしょう。