運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業で健康保険組合に未加入の事業所は少なくない?

2018.02.16
分類:その他

全ての法人、または5人以上を雇用する農林水産業やサービス業以外の個人事業所は、事業主や従業員の意思とは関係なしに健康保険組合などに加入して健康保険・厚生年金保険へ加入することが必要です。
しかし、正社員として従業員を雇用している運送会社などでも、いまだに社会保険に未加入というケースもあるようです。
従業員はそれぞれが国民健康保険・国民年金に加入することになるわけです。


年金事務所から職権で加入させられた場合には?
しかし本来であれば健康保険・厚生年金保険に加入することが義務付けられている法人や個人事業所は強制適用事業所という立場です。
そこで働く従業員は強制被保険者という立場になるわけですが、企業などが強制適用事業所に該当しているのに社会保険に加入していない場合は、年金事務所から加入を促されます。
それでも加入しない場合、最終的には職権で加入させられることになるかもしれません。
そうなると最大、2年間はさかのぼって加入することになるので、数百万円という社会保険料を支払わなければいけなくなることを認識しておく必要があります。
また、負担を強いられるのは未加入だった事業所だけではありません。
その事業所で従業員本人にも、2年分の社会保険料の折半分を支払う必要が出てきます。


試用期間中の社員やパートタイムの扱いは?
なお、正社員を雇用したけれどまだ試用期間中だからと、社会保険の対象から外す企業などもあるようですがこれは違法です。
さらに、パートタイム労働者などの場合も、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が通常の就労者(正社員)の4分の3以上の場合や、雇用契約期間が2か月を超えている場合は、雇用形態に関係なく社会保険の加入対象です。


本当に従業員のためを思うなら
雇用している従業員が社会保険に入りたがらないから、事業所としても保険料を折半分負担しなくてよいので本人の意思を尊重しようと未加入事業所のままでいるケースもあるようです。
一見、従業員と事業所、どちらにもメリットがあるように思えるかもしれませんが、年金事務所では定期的な調査を行っています。
賃金台帳や雇用契約書などを確認され、加入しなければいけない人が未加入である事実はいずれ発覚するでしょう。
その場合、先にも述べたように2年間さかのぼって保険料を請求されることになれば、従業員や事業所のためと思っていたことが裏目に出て、大きなダメージを負うことになってしまいます。
しっかりと保険組合に加入し、社会保険料を支払うことの大切さを従業員にも理解してもらうことが必要となるでしょう。