運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業者が加入する保険についての保険料は消費税課税対象?

2018.02.20
分類:その他

貨物を運送する際に、運送会社は貨物に万一のことがあった時に備えて保険に加入しますが、保険料相当額を運送代金と別建てで請求した場合には取扱いに注意する必要があります。
日本国内取引に係る消費税が課税対象となるのは、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供です。
ただし土地の譲渡や貸付け、貸付金の利子、有価証券の譲渡、保険料などは、消費に対する課税が前提である消費税の課税対象としてはなじむとは言えず、非課税になっています。
他にも非課税となるものには、住宅の貸付け、学校教育、社会保険診療や介護保険に係る介護サービスなどが該当します。


保険料なら非課税処理できる?
ただし、保険料は単純に非課税で処理できるからと思っていると大間違いです。
保険契約を誰が結んだのかという部分で大きく異なって来る点に注意しましょう。

・運送代金の一部を構成するものになる?
荷主が貨物を保護することを目的に保険契約を結び、その保険契約に対する保険料を一旦運送業者が立て替えている場合には、立替金で経理処理を行う必要があります。
しかし保険契約を運送業者が結び、荷主に代金を請求する場合には運送代金の一部を構成するものとなります。

・取引価格には人件費なども含まれると考えれば・・・
保険料は荷主が事故などの発生時の損害に備えて付保します。
保険料は非課税ですが、運賃を構成する原価の一部に過ぎません。
荷主に請求する際には、保険料を含めた全ての金額が運送役務の対価として課税対象になるわけです。
何だか納得できないと思うかもしれませんが、例えば様々な取引において、その価格には原価が含まれています。
その原価の中には例えば人件費なども含まれています。
人件費は不課税ですが、この費用は別建てで請求することはないでしょう。
そのように考えれば、保険料についても納得できると思います。


運送料と保険料の扱いについて
運送料だけでなく、保険料が徴収された場合の取扱いとは次のようになります。
保険契約の名義人が依頼主の場合は、
・保険料と運送料が区別されずに一括で運送料である場合には全額課税取引(または免税取引)になります。
・保険料部分が区別されている場合には、保険料は非課税取引、運送料は課税取引(または免税取引)です。
保険契約の名義人が運送業者の場合には全額課税取引(または免税取引)です。


誰が保険契約の当事者かで考えてみては?
保険契約の当事者が誰になるのかをまず考えましょう。
運送業者であれば、運賃・運送保険料全体が運送料として課税され、保険契約の依頼主であれば運送保険料は非課税と考えれば分かりやすいです。
ただし先に述べたように細かな区分などで異なるので、確認しておくようにしましょう。