運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業のドライバーで多い歩合給メインの賃金体系ってどうなの?

2018.04.12
分類:その他

運送会社は日々、安全、確実、迅速に依頼を受けた荷物を届けていく努力をする必要がありますが、人々の生活パターンの多様化などのニーズに答えるためには、早朝から夜遅くまで配送業務を行うことも求められている状況です。
そのため、運送業のドライバーの特殊な勤務形態が要因となり、賃金体系は他業種と異なってとても複雑なものになっています。
その中で、歩合給を多くして見た目の賃金は世間並みにする賃金体系が見られますが、毎年最低賃金は増額改定されている状況ということも踏まえて早急な対策が必要と言えるでしょう。


ドライバーの賃金支払いが負担に・・・
景気低迷の状態で運送する物量は毎年減少傾向にあること、さらに規制緩和が影響して参入業者が増加したことなどで、運賃ダンピング競争が激化している状態です。
生き残るためには売上減少に対処できるコスト削減が望まれますが、ドライバーの勤務時間の長時間化で賃金支払いが大きな負担となっていると言えるでしょう。


ドライバーの一般的な賃金体系は?
運送会社のドライバーの一般的な賃金体系には、例えば次のような体系が考えられます。
・基本給+住宅手当(固定給)+無事故手当+皆勤手当+残業手当
・基本給+家族手当(固定給)+無事故手当+残業手当
・基本給(固定給)+食事手当+能率手当+無事故手当+皆勤手当
・基本給(日給または時間給)+残業手当+歩合給(運行手当または奨励給)


中でも問題視される賃金体系とは?
問題になるのは、固定給を極端に下げて変動する歩合給を多くし、世間並みの賃金であるように見せている給与体系があることです。
賃金構成の50~60%を変動部分が占めてしまうなど、割合を多くし過ぎれば今度は人材を確保できなくなる可能性があります。
厳しい情勢の中で生き残ることを考えるなら、人材確保のためにも変動部分の見直しは真っ先に取りかかるべき問題と言えるでしょう。

・固定残業制は実態と合致するか
他にも「固定残業制」を取り入れている運送会社もあるようですが、実態を無視した安易な残業代の削減を目的にすると危険です。
実態と違った残業代であれば、労働基準監督署の是正で2年間さかのぼって未払い精算しなければならなくなる可能性もあります。


生き残りを考えるなら
様々な問題を抱える状態で、見直さなければならない部分は多いと感じるかもしれませんが、生き残りを考えるからこそ、専門家などに相談しながら前向きに検討していくべきだと言えるでしょう。