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運送業の独立ドライバーが加入しておきたい労災保険とは?

2018.05.16
分類:その他
トラック運送事業を営む会社の労働者が、トラックの荷台から転落して左足の靭帯を断裂するケガを負ったことで48日間休業したのに、労働基準監督署に報告を怠ったことで労働安全衛生法第100条(報告等)違反の疑いで書類送検されるという事がありました。 労働安全衛生法では休業4日以上の労働災害が起きた場合、遅滞なく所轄の労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出することは事業者の義務です。

運送業で労災が起きないようにするのは事業者の努め

このような労災かくしとも言える問題はあとを絶たず、さらには、運送会社に勤務していたドライバーが急性大動脈解離で亡くなった原因を長時間労働によるものだと労働基準監督署が労災認定したというケースなどもありました。 労働基準監督署が時間外労働の時間や労災認定の基準を超えていないか等を調査した結果によるものですが、労災事故が起きないようにすることは事業者の努めだと言えるでしょう。

万一の労災事故から労働者を守るために

しかし危険が取り巻く環境の中、いつ労災事故が起きるかは分かりませんので労災保険に加入しておくことは重要です。労働災害と認定されれば労災保険が適用されることになるので、労働者を守るという意味でとても大切なことですが、独立ドライバーは労災保険が適用されない点に注意する必要もあります。

独立ドライバーは労災保険が適用されない

バイク便や個人貨物運送業、個人タクシー等は独立ドライバー、または一人親方として従業員を雇用せず、一人で仕事を請負って働く形式です。一人親方は労働者ではありませんので、労働者のように労災保険が適用になるわけではなく、万一労災事故が発生した場合の補償が問題となります。 そこで、労働者に準じて業務上の災害から保護するべき一人親方に対して、労災保険特別加入制度が設けてられていますので利用する様にしましょう。

一人親方の労災保険特別加入制度の検討を

建設業の一人親方労災保険と並んで加入や問い合わせが多く見られるのが運送事業の一人親方労災保険です。 旅客または貨物運送事業の一人親方労災保険に対する特別加入は、バイク便事業、個人貨物運送事業、軽貨物運送事業、個人タクシーなどが対象になります。なお、一人親方労災保険に加入するためには、一人親方労災保険の組合などの団体に加入することが必要です。

一人親方労災保険に加入することのメリット

一人親方労災保険に特別加入した場合、給付基礎日額に応じた額が補償される事になりますし、通勤中の事故も一般労働者と同様の取り扱いです。 仕事中にケガを負ったとしても自己負担をせずに無料で治療を受ける事ができ、治療で休業した場合には給付基礎日額に応じた額の休業補償の給付を受ける事が出来るなどメリットが大きいため、未加入の場合には検討しておく事が必要です。