運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業の賃金に関する問題とは?その給与体系は危険?

2018.05.21
分類:その他
毎年のように最低賃金が増額改定されているのをご存知でしょうか?運送業のドライバーの賃金体系は、特殊な勤務形態から他業種よりも複雑なものになっています。 安全、確実、迅速に商品や製品を届けなければならない上に、生活パターンの多様化に上手く対応しながら顧客のニーズにも答えなければなりません。そのため、早朝から夜遅くまで配送業務を行っていることも少なくないでしょう。 実際、運送業界を取り巻く情勢は厳しく、運送する物量も毎年減少傾向にあるのに、規制緩和で参入業者が増えるなど、運賃のダンピング競争を激化させる要因ばかりです。

生き残りをかけるためには経費削減が必須?

そこで、生き残りをかけて経費削減なども検討する必要がありますが、ドライバーの勤務時間は長時間化していることで、賃金が大きな負担になっている傾向が強いようです。 ドライバーの賃金体系の見直しも必要ですが、固定給部分は少なく、歩合部分を多くという見た目は世間並みの賃金に見せた給与体系を採用するという形はどうなのでしょう。 ・変動部分の割合が多くなると離職者が増える? 固定部分を増やさず、賃金の5~6割を占める変動部分の割合が多くなると、安定した収入を得ることができないと離職者を増やしてしまう可能性もあります。そのためこの様な給与体系を採用している場合には、変動部分の見直しを行う必要があると言えるでしょう。 ・固定残業制を安易に採用しないこと また、固定残業制を採用している場合、実態を無視して残業代削減だけを目的するという形で取り入れるのは非常に危険です。 実態と違う固定残業代が発生している場合、労働基準監督署の是正によって過去2年にさかのぼって未払い精算を行わなければならなくなる可能性があります。

どのように改善していけば良いのか?

低運賃、過重労働、燃料費高騰、労働時間管理に残業問題など、運送業は色々な問題を抱えている中、儲からない上に運賃の下落と共にドライバーの賃金も下がっていると嘆く声が聞こえてくることはめずらしくなりません。 実際運送業でのコストは人件費が半分以上という状況なので、どうしても悪循環が生まれやすくなってしまいます。しかし残業代の不払いや労働時間の是正指導など、後で費用を負担しなければならなくなれば事業を継続できなくなる可能性がありますので、運送業では現在の給与体系を今一度見直す必要があるでしょう。 割増賃金の削減、労働時間の削減を同時に行えるような対策を行うことが必要です。