運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業の送料が次々と値上げ?一般企業にも影響が?

2018.06.07
分類:その他
国内の運送で6割以上を占める物流トラックのドライバーは、人手不足や再配達などで過酷な労働環境での就労を余儀なくされていることが問題視されています。 そもそも物流業界は景気の変動に強く安定している業界なのですが、それでも様々なことが理由で送料を値上げするしかない状況に陥っていると言えるでしょう。 では、どのようなことが送料値上げに繋がっているのか、背景について確認しておきましょう。

サービスが向上しても運送会社の売上に直結していない

トラック事業の競争促進化、されに利用者増進を目的として、1990年12月に物流二法が施行され、運送業界への新規参入が容易になったと言えます。 結果として運送会社の価格競争の激化が起こり、現在では当然のように「送料全国一律」「送料無料」といった表示があちこちで見られるようになってしまいました。運ぶ荷物は増えても運送会社の売上に直結しているとは言えず、ドライバーの負担は増加するばかりです。

作業の効率化の妨げとなっているものは?

運送業者のドライバーは長時間労働でありながら、他の業界より賃金が高いと言えない状況です。サービスが過剰になればドライバーの負担はその分増えます。全配達の2割と言われている再配達や、1運行平均2時間弱と言われている荷待ち時間は、まさに効率的に業務を行いたいドライバーの妨げとなっているとしか言えません。

国が設けた対策とは?

このような状況から国土交通省は、トラック運送業において適正な運賃や料金が設定されるように2017年8月4日に標準貨物自動車運送約款を改正しました。標準貨物自動車運送約款等では、次の点を改正すれば運送の対価である「運賃」、運送以外の役務などの対価である「料金」を適正に設定できるようになっています。 ・運送状の記載事項にある「積込料」「取卸料」「待機時間料」などの料金は具体例を掲げて規定する ・積込みまたは取卸しの対価は「積込料」および「取卸料」、荷待ちの対価は「待機時間料」と規定すること ・附帯業務内容は「横持ち」など明確化する

送料値上げは今では当たり前?

運行管理計の装着や荷待ち時間の記録など義務化された部分もありますが、賃金を適正化できるようになれば運送業のドライバーの負担も軽減されると考えられます。大手運送会社も次々に送料を値上げしているため、もはやこれまでの送料で対応できないということは周知されつつあると言えるでしょう。

負の連鎖を断ち切るために

大手運送会社の送料値上げによって、ネットショップや通販会社が送料設定など全般に見直しを行っていますが、契約運賃が上がれば利益が減ると嘆く企業もあるはずです。この送料値上げを行わなければならない状況そのものを改善していかなければ、負の連鎖があらゆる方面へと影響してしまうと言えるでしょう。