運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

何が問題になっているから運送業許可を取得できない?

2018.07.25
分類:その他
運送業許可を取って事業を行いたいけれど、中には取得できないことが問題になるケースがあります。 たとえばそれまで勤務していた運送会社がトラックの使用制限を受けていた場合など、どの立場にいたのかによって許可を受けることができない可能性も出てくるのです。 許可を受けることができるかどうかの判断は、法律や国交省から公示されている基準など、いくつかルールが設けられていますので該当しないか確認してみましょう。

運送業許可を受けることができないケース

緑ナンバーでトラック運送業(一般貨物自動車運送事業)を行うためには、運送業許可を取得することが必要です。 しかし、運送業についてのルールである「貨物自動車運送事業法」では、欠格事由として許可を受けられない人を定めています。

□運送業許可の欠格事由 次の項目のうち、いずれか1つでも該当するものがあれば運送業許可を受けることはできません。 ・1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者 ・一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の通知が到達した日前60日以内にその法人の役員であった者で当該取消しの日から2年を経過しないものを含む。) ・営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者または成年被後見人であって、その法定代理人が上記1,2または下記4のいずれかに該当するもの ・法人であって、その役員のうちに上記のいずれかに該当する者のあるもの

□役員や未成年の範囲

これらの項目のうち、「役員」には登記上の役員だけではなく、実態として役員と同じまたはそれ以上に職権や支配力を持っている人も含まれます。 また、「未成年者」については親などの法定代理人が運送業の営業を許可していれば法律上は成年者と同じ扱いになります。結婚している場合も同様です。 そのため、「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」とは、親などから許可をもらっていない未婚の未成年者などが運送業許可の申請を行う場合には、親など法定代理人の欠格事由を判断するということになります。 また、役員に該当する人の中に、欠陥事由に該当する人が1人でもいれば許可は受けられません。

国交省の欠格事由

上記のような法律上の欠格事由だけでなく、国土交通省が公示している運送業許可申請の処理方針でも欠格事由が設けられています。 欠格事由に該当しないためには、申請者、または申請者が法人である場合、法人業務を執行する常勤役員が、貨物自動車運送事業法や道路運送法違反で申請日からさかのぼって3か月の間や申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分または使用制限の処分を受けていないことや、その他法令順守状況に著しい問題がないことが必要です。 なお、悪質な違反の場合は、上記の「3か月の間」の基準が「6が月の間」にわかります。その目安としては、違反事実の隠滅や、飲酒運転、ひき逃げなどの悪質な違反行為、社会的影響のある事故などを起こした場合や、事業停止処分がある場合などです。 「自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分または使用制限(禁止)の処分を受けた者」には、会社が処分を受けたときに常勤の役員だった人を含むので、別会社を作って許可を受けることはできないということです。

事前に確認をするか専門家に相談を

該当すると運送業許可を受けることができないケースに該当してしまうと、せっかくこれから事業を始めようとする妨げになってしまいます。 実際に営業所や車庫を借りて問題が発覚すると、大きな損失になる可能性もありますので事前に確認しておいたほうがよいといえます。