運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業界で問題視されているドライバーの待機時間とは?

2018.10.17
分類:その他
運送業界で頻繁に問題として取り上げられるのは、トラックドライバーの長時間労働です。 なぜ労働時間が長時間になりやすいのかは、いくつかの要因が重なってのことですが、特に現在問題視されているのが業務中の荷待ち時間と言えるでしょう。荷物の積み下ろしの時には、ドライバーが待機していなければなりません。 どれだけドライバーが時間を短縮しようとしても、待機時間が長ければ意味がないのです。中には残業時間を隠すために使われることもあるので、問題となっています。

荷待ち時間は遅くなっても残業扱いにはならない?

荷待ち時間は、荷物の送り主である荷主や、物流施設の都合などでドライバー側が待機しなければならない時間です。仮に3時間以上待たされることになっても、ドライバーは文句を言うことはできず待つしかない状況です。 本当なら荷主側に作業効率を改善してもらうように言いたい企業もあるでしょう。しかし、トラック運送業の9割以上は中小の運送会社です。そのため、荷主に強い意見で改善を求めることは難しいのが現状なのです。 実際、物流施設に到着した時には、すでに他のトラックが列を作って待機していることが多く、4~5時間ほど待つこともあるくらい長時間に及びます。 それなのに荷主側から追加料金などが一切支払われず、むしろ荷待ち時間を休憩扱いにして処理しようとする運送会社もあるなど、違法な長時間労働に繋げる要因になっています。

荷待ち時間は休憩時間ではない!

しかし荷待ち時間は「労働時間」であり、「休憩」ではありません。ドライバーには適切な残業代を支払うことが必要だと言えるでしょう。 国は、トラックドライバーの労働環境を改善するために、乗務記録の記載を運送会社に義務付けました。 対象となるのは、車両総重量8トン以上、または最大積載量5トン以上のトラックに乗務するドライバーです。 荷主の都合で30分以上待機時間があった場合には記載することが必要になりますので、しっかり記録しておくようにしましょう。

今後、労働環境改善のきっかけになる?

荷待ち時間の記録が義務化されたからといって、すぐに問題が解決するわけではないでしょう。しかし、今後、状況が改善されていくきっかけにはなるはずです。 運送業界の実態が可視化されていけば、過酷な労働状況に置かれたドライバーの状況を外から把握することが可能になります。 それにより、労働環境が改善されていくようになれば、結果として運送会社の運営効率化にも繋がるのではないでしょうか。