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道路運送法が改正されたことで貸切バス事業の安全対策は強化された?

2018.10.19
分類:その他
道路運送法が改正され、貸切バスの更新制などが導入されています。具体的にどのような点が改正になっているのか、その内容を確認しておきましょう。

なぜ法改正に至った?

貸切バスなど、バス事業の安全対策が強化されることを目的として、道路運送法の一部が改正されています。 これは、2016年1月15日に起きた「軽井沢スキーバス転落事故」がきっかけとなっています。定員45人の大型バスが、ガードレールをなぎ倒し道路脇に転落して、乗員・乗客41人中15人が亡くなりました。 そのため、現在では安全に運行できる状態か厳しく確認することが求められるようになったのです。

法改正のポイント

法改正前までは、貸切バスの事業許可は一度取得すれば、期限は設けられておらず、無期限で有効でした。しかし、原則5年に一度は収益の見通しや安全対策投資計画などを確認する更新手続きが必要になりました。 そのため、更新を行う時には、「安全投資計画」「事業収支見積書」の提出が必要です。安全投資計画では、運転者や運行管理者の体制構築、車両新規取得、代替や整備、安全確保などの事項についての計画が確認されます。事業収支見積書では、安全投資計画の裏付けになる収支が記載されていなければなりません。 これらの書類から、仮に事業者の安全性が確保できないと判断されれば、更新はされないということです。

他にも法改正のポイントはいくつかあるのでご紹介します。

□欠格期間の延長 さらに、せっかく運行管理者資資格者証を取得したのにもかかわらず、不適切な管理や運行指示などで返納を命じられる者もいます。 これまでのような場合には事業許可が取消しされることになりますが、再度許可を受けるまでの欠格期間は従来2年でした。しかし法改正により、5年に延長されています。 □処分逃れの防止 また、事業の休止や廃業は事業者の判断に任されていたので、事後届出制だったわけです。そのため、処分逃れの廃止から新規で許可を申請する場合は欠格事由には該当しなかったのですが、この不正な廃止を防止するため休廃業する時には事前の届出が必要になっています。 □監査の強化 民間の指定適正化機関が巡回指導を行うことになり、その必要経費を計上するためバス事業者から負担金を徴収されるようになりました。 □罰則強化 輸送の安全確保命令に従わないバス事業の経営者や運行管理者に対しては、罰金増額と懲役刑が新設され、法人重科の罰金額は100万円から1億円に引き上げられています。

安全を守って貸切バス事業を営むことが必要

法改正に伴って、旅客自動車運送事業運輸規則、告示・関連通達なども大幅に改正されたので、かなり貸切バス事業の安全対策は強化されていると言えるでしょう。