運送での破損は本当にドライバーの責任?
運送会社で働くドライバーの仕事とは、ハンドルを握ってひたすら走るだけというイメージで捉えられていることが多いようです。
しかし、実際にはドライバー自らがトラックに積む荷物の検品や積み込み作業まで行い、さらに荷物に破損が見つかれば生じれば責任はドライバーが負うといった状況も見られます。
見逃した破損までドライバーの責任?
荷主によっては、フォークリフトでパレット積み降ろしが基本という会社もありますが、まだ手積み作業が主であるケースは少なくありません。
トラックに数千という数のケースを積み込み、その後運ぶ距離は短いという場合は、走行時間よりも積み込み時間のほうが長くなってしまいます。
その上、積み込む荷物に破損や汚損がないかという検品作業までドライバーが行う場合、本来ドライバーとして運ぶこと以外の作業に大変な手間と時間が掛かることになるでしょう。
しかし、この検品作業を怠って積み込んでしまった場合、見逃してしまった破損の責任はドライバーが負う可能性があるので注意しなければなりません。
□ドライバーに責任を負わせることは正しいのか
荷降ろし段階で破損が見つかれば、責任を負うことも負担ですが、荷主と代替品を手配するなど非常に手間や時間がかかることも負担です。
中にはドライバーが弁償させられるといったケースもいまだに存在しているようですが、そのような事のない様に貨物保険に加入していることが重要になるといえるでしょう。
使用者に責任は本当にないのか
仮にドライバーが弁償することになれば、何らかの事故があるごとに給料から天引きされることになります。
重大な過失や故意の事故に対する賠償責任は納得できるかもしれませんが、仮に重過失による事故でも、事故発生までに至る根本的な原因は使用者という場合もあります。
居眠り事故などは運行管理に問題があるなど、ドライバーだけに責任があると思えないケースがその例です。
運送会社に監査が入り、運行管理規定違反によるトラックの数台の使用停止処分など科せられることになっても、ドライバーが抱える負担に比べれば軽いといえるでしょう。
ドライバーが会社に不満を言えない理由
ドライバーが会社に不満を抱いていたとしても、会社に一言モノ申せば居づらくなってしまうことを恐れ、何も言えずに納得するしかないケースもあるでしょう。
特に年齢が高いドライバーなどは、辞めてしまえば再就職に不安を感じるので、我慢するしかないと感じているようです。
運送業界の慣習や会社の規定だからと諦めてしまうドライバーもいるようですが、就業中の事故は使用者にも一因があると捉え、安心してドライバーが働ける環境づくりを行うことが大切になります。
当然、ドライバーが起こした事故の負担をすべて運送会社が引き受けていれば経営に支障をきたすことになってしまいます。そのため、事故やトラブルが起きないような取り組みが重要なのです。