運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業界で抱える課題を解決するために必要なこと

2019.02.22
分類:その他
道路貨物運送業の賃金水準は、全ての産業の平均と比較すると低めであり、トラック運送業界などでは就業者数が伸び悩んでいることに問題を抱えています。 そもそも労働人口は不足している中で、トラック運送業界の長時間労働の勤務体制、さらに正社員と非正規との格差問題など、魅力として感じられる部分が少ないと思われがちな部分が目立っていることが問題でしょう。 改善に取り組む運送会社も増えつつあるものの、まだまだその状況が浸透しているといえず、慢性的な人手不足を問題として抱えている状況です。

長時間労働を改善させたくてもできない?

取り組みとして実施されることが求められる部分には、時間外労働の見直しや、職場環境の整備などですが、そもそもの荷主と運送事業者の取引が適正化されなければ、改善されない問題でもあります。 トラック運送事業者は、取引上の立場が荷主よりも弱いため、業務や附帯サービスに対しての適正な運賃や料金を収受できないという問題が挙げられます。 荷主によっては、仕分け作業、棚入れ、積卸しなど、直接運送には関係のない作業まで、運賃に含むとしているケースもあるわけです。 この商慣行では、トラック運送業界の働き方が改善されることはなく、人手不足はますます深刻化すると考えられるでしょう。 □問題を重くみた国が実施した対策 そこで、国土交通省は2017年、「標準貨物自動車運送約款」を改正し、運送の対価として発生する運賃、それと附帯サービスの対価は、料金を明確化させることを規定しました。 さらに、適正な取引が実施されるためのルールブックともいえる「トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン」の改訂、加えて運送契約の重要事項を書面化することを規定した「トラック運送業における書面化推進ガイドライン」も改訂されています。 2017年に改正された「貨物自動車運送事業輸送安全規則」により、荷主都合で待機時間が30分以上発生した場合は、常務記録に荷待ち時間にかかる情報を記載することも義務付けられています。

荷待ち時間があるのとないのとでは2時間以上の差が!

1度の運送について荷待ち時間は2時間発生しているといわれていますが、トラック運送業界を継続し、安定させていくことを考えるならその負担を補うことができる労働生産性の向上が必要です。 荷待ち時間が発生すれば、平均して拘束時間は13時間半となると言われていますので、荷待ち時間を抑え、長時間労働に対する問題を改善させることが求められるといえるでしょう。