運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送事業者と荷主が協力した職場環境の改善が求められる理由

2019.04.10
分類:その他
トラック運送業ではドライバー不足が長年の課題となっていますが、継続して物流が機能するためにはドライバーの長時間労働を改善させていくとともに、生産性向上も必要となります。 国土交通省では、運送事業者の荷待ち時間の削減や効率的な荷役作業を可能するため、運送事業者と荷主が連携して取り組めるガイドラインを策定しています。経済産業省でもガイドラインの周知を通じ、運送事業者と荷主が協力して行うことによって実現する取引環境や長時間労働の改善への取り組みに協力するといった動きがみられます。 その中で、荷主との力関係により、発生した有料道路の料金を荷主に請求できない運送事業者も少なくありません。そこで、ガイドラインでは高速料金も必要コストであることが明記され、荷主に対する協力を求めています。

トラックドライバーが抱える苦悩

運送事業者で働くトラックドライバーの長時間労働が過酷であることは、現在社会問題として取りあげられる事もしばしばあります。 高速料金を荷主に請求できないことで、一般道を走行することになれば、指定された時間に間に合わせるために休憩も取ることができない状態となってしまいます。 このようなトラックドライバーの苦悩は、輸送に伴う色々な費用を中小の運送事業者が負担しなければならないことが背景にあるといえます。

運送事業者の負担を軽減できるような法律の改正

2017年8月に、運送事業者と荷主との契約のひな型「標準貨物自動車運送約款」は改正され、検品や棚入れに対する付帯業務料や荷待ち時間の対価についても明記されました。 改正貨物自動車運送事業法でも、運送事業者の長時間労働を深刻化させないように、荷主の情報は関係機関が共有し、荷主に対する要請や勧告などの働きかけを可能としています。 ガイドラインではこのようなルールに沿った上で、荷主に対する法令順守を強く求め、社会保険料なども必要コストであることが強調されていますし、荷主による都合で荷待ち時間が発生すれば料金を払う必要があることも明記されています。

若い世代に受け入れられる業界を目指して

運送業界は現在人手不足が深刻化していますが、全国でドライバーとして働く方のうち、30歳未満のドライバーは10%に満たないという状況です。 これは過酷な労働環境などが原因で、若い世代に受け入れられない業種となっていることが要因であるといわざるをえないでしょう。 運送事業者と荷主が理解と協力し合うことで、一人でも多くのドライバーの過労による事故を防ぐことができるはずですし、人手不足解消にも繋がるはずです。