2018年12月に「改正貨物自動車運送事業法(改正貨物事業法)」が参院本会議により可決となったことで、
今後はトラックドライバーの労働条件が改善され、運送事業者が健全に経営できる環境が整備されることが期待されています。
実際にどのように法律が改正されるのか、運送業を営むなら知っておくことが必要です。
貨物自動車運送事業法が施行されたのは1989年12月で、運送事業者が健全に事業を営むことができるための法律となっています。
ただ、2019年4月には「働き方関連改革法」が施行され、運送業界で問題視されている時間外労働や労働条件に対応が必要とされ、今回の法改正に至ったと考えられるでしょう。
「働き方関連改革法」では、2024年(令和6年)から時間外労働の限度時間が設定されます。
これは、運送業のドライバー不足によって物流が滞ることのないよう、必要とされるドライバーの労働条件改善など適切な措置が必要とされたからです。
今回、改正貨物事業法では何が変わるのか、その内容が気になるところです。ここではその中でも特に気になる点について列挙します。
①法令に違反した場合、運送事業への参入が厳格化されています。
・ 欠格期間を2年から5年へ延長
・ 処分逃れのために自主廃業した場合の参入を制限
・ 親会社などが許可取消処分を受けた場合の参入制限
など
②適切な計画や能力を有することを要件として、以下の項目などを明確しなければなりません。
・ 車両点検や確実な整備の実施など、安全性の確保について
・ 十分な広さの車庫を設けるなど、事業を継続するための計画について
・ 事業の継続するための資金の基礎について
など
③対価を伴わない役務が発生することを防ぐことを目的に、荷待時間や附帯業務等の見える化を図るため、約款の認可基準の明確化を必要とします。
原則、運賃と料金は分別して受け取ることができるように、「運賃:運送の対価(料金):運送以外のサービス」といった表記で示します。
④運送事業者が守るべき事項も明確化しなければなりません。
・輸送の安全に係る義務を明確化すること(定期点検や整備の実施など)
・事業を適確に遂行するための遵守義務を新設すること(車庫の整備や管理など)
・健康保険法などで納付義務を負う保険料などの納付
改正貨物事業法には車両の安全性確保やドライバーの労働状況を把握し、向上させるまで運送事業者が守るべき内容が具体的に示されています。
ルールを守れなければ、是正勧告や参入制限といったペナルティが課せられることになってしまいますので、法改正の内容をしっかり把握しておくようにしてください。