運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業者が到着まで遅れてはいけないと急いだ結果事故が起きて荷物が破損したら?

2019.06.04
分類:その他
もし、輸送中のトラブルなどが発生し、到着まで遅れが生じてはいけないと急いだ結果、事故などが起きて車の荷物が破損してしまったら…。 運送業者はその損害賠償責任を負担することになってしまうでしょう。このような場合に備えて、運送業者が輸送を受託し、貨物に損害が生じたことで荷主や元請輸送人に対する損害賠償責任を補償してくれる「運送業者貨物賠償責任保険」に加入しておくことが必要です。

運送業者にふりかかる万一のリスクに備えるために

もし顧客から依頼を受け、荷物を預かった後で何らかの損害が生じた場合、原則、弁償しなければなりません。運送業者に過失がないというケースもあるでしょうが、損害分は弁償しなければならないため、負担する費用が心配されます。 実際、輸送に使用される車両や船の事故発生率は高くありませんし、事故が起きて荷物が壊れたという場合でも、それが原因で経営を揺るがされるということはないとも考えられます。 ただ、車ごと、もしくはコンテナごと、火災や爆発などに巻き込まれて破損してしまった場合、その中の荷物はすべて破損してしまうかもしれません。そうなると弁償するための費用は高額なものとなり、事業継続の大きな妨げとなるでしょう。 そこで、加入しておきたいのがこのような万一のリスクを回避できる運送業者貨物賠償責任保険というわけです。

特約を付帯することで補償範囲を拡大できる

運送業者貨物賠償責任保険で補償が可能な費用の種類として、基本的には顧客の荷物に生じた損害に対する弁償額とされています。これは、支払い限度額の範囲により補償されるものです。 保険料負担を抑えるためには、支払い限度額を下げる、または一定額までは自己負担とする契約内容にする方法がありますが、保険料を安くすることにとらわれ過ぎてしまうといざという時に意味のない保険になってしまいます。 反対に次のような特約を付帯させることで、補償される範囲を広げることが可能です。

第三者賠償責任担保特約

荷降ろし中、荷物を落として他人にケガを負わせた場合の治療費などを補償する特約

残存物取片付け費用特約

交通事故などにより散乱した廃棄する物や荷物を片付けるためにかかった費用を補償する特約

継搬費用・急送費用担保特約

交通事故などにより車が自力走行できなくなった場合において、仕向地に荷物を輸送するために追加で発生した費用などを補償する特約

検査費用担保特約

荷物が破損していないか検査するためにかかった費用などを補償する特約

輸送遅延による物流業者に対する賠償は補償されない?

この運送業者貨物賠償責任保険では、主に荷物の破損によるトラブルは対応できても、一部輸送遅延による損害や費用は対象に含まれていません。 例えば物流業者との運送契約の中で、輸送遅延による罰金や違約金、納品できないことに対しての損害などが含まれていても、そこまでは補償されないということです。 補償されるケースとそうでないケースがあるので、しっかり内容を確認して納得の上、加入することが望ましいといえるでしょう。