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今後は運送事業者のコンプライアンス違反も荷主の責任となる?

2019.06.24
分類:その他
2018年12月8日、参議院では「貨物自動車運送事業法」の一部を改正する法案が可決・成立となりました。 今後、貨物自動車運送事業者が健全に事業を営むことができるための法律改正とされていますが、荷主に対する事項も追記されており、コンプライアンスもより重視した経営が必要となっています。 そこで、貨物自動車運送事業法はなぜ一部が改正に至ったのか、荷主に係る改正部分などについてご説明します。

なぜ貨物自動車運送事業法が一部改正されることになったのか

法改正に至った理由は、悪質な運送事業者を排除すること、さらに荷主対策を強化することが目的です。 物流企業よりも荷主のほうが強い立場であることは、特殊な運送業界のピラミッド式として周知されている事実です。ただ、近年ではドライバー不足が深刻化し、EC市場が拡大されるなど、配送業務が増えたことで需給バランスは大きく変わってきました。それにより、物流企業と荷主との力関係も逆転している状況といえるでしょう。

物流が今後停止してしまわないために

働き方改革関連法案に設定されている罰則付き時間外労働規制が運送事業者に規制適応されるのは2023年からとされていますが、今のままで上限規定が適応されれば運送事業者の多くは遵守できない状態になってしまいます。 そうなると物流機能が混乱を見せ、場合によっては停止してしまうのではないか、と考えたわけです。そのような状況に陥らないために、ドライバーの労働環境を改善することを目的として法改正がなされたという流れといえるでしょう。 実際、いくら長時間労働を見直そうと思っても、運送事業者だけでは行うことは不可能です。やはり荷主の協力や理解あってこそのため、荷主の責任についても法改正後は明記されることになっています。

運送事業者のコンプライアンス違反も荷主の責任に

ドライバーは1日13時間以内、最大16時間(月293時間以内)の労働時間であることが規定されており、さらに4時間ごとに30分休憩を取るといった連続運転時間などの規制もされています。 仮にコンプライアンス違反が起き、違反した理由に荷主の高圧的な要求が原因と認められれば、連続運転時間の違反の責任は荷主が負うことになります。

最低限必要な物流サービスとは何か改めて見直してもらうことが必要

荷主から要求されている物流サービスが過剰になっていないか確認してみましょう。 運送事業者の立場からすれば、荷主から要求される条件を緩和してもらうだけで費用削減に繋がると考えてしまうものです。 荷主には本当に必要とされる最低限の物流サービスとは何なのか、再度検討し直してもらうことが必要となるでしょう。